西中国山地自然史研究会 観察会
冬を生きる動物たちの生態

【案内文】
雪で覆われた草原を歩き、動物たちの生態を観察します。雪の上には足跡や、フン、植物の食痕など動物たちが生活しているサインがたくさんあります。雪が多い場合は、スノーシューやかんじきを履いて歩きましょう。
開催日時:1月18日(日) 10:00
集合場所:高原の自然館
準備:基本セット,かんじき(レンタルもあります\200)
講師:上野吉雄
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
天気予報では雨となっていたため,お天気が心配されましたが,比較的暖かな気温に恵まれ,17名の参加者のみなさんが高原の自然館前に集合しました.積雪量は100cmほどでしょうか.雪上を歩くため,かんじきやスノーシューを準備して,観察会が始まりました.今回の講師は上野先生です.自然館前を出発し,目にとまった足跡や生き物をみんなでのぞき込み,上野先生の説明を聞きました.足跡を見たときは,まず指の数を数えたらよいことや,ウサギの足跡は前についてあるのが後ろ足であることを聞き,矢印のようなキジの足跡も見ました.カワゲラの仲間やハエの仲間,ガガンボやトビムシといった雪上で生活している昆虫もいました.観察しながらその生態や生命力に驚く声が参加者よりあがりました.雪原を通りきり,森のそばに近づいたとき,一瞬ではありますが,ウサギの姿を見ることができました.ウサギがいたと思われる穴を,上野先生が探し出し観察しました.木の根元の藪のようなところが入り口で,思った以上に奥行きがあり,キツネなどの天敵から身を守る為の工夫がされていることがわかりました.動物以外にも,植物の冬の姿も見ました.ドライフラワーのようなノリウツギ,雪の上に落ちているカラコギカエデの種子,鳥のフンによって種子散布がされているヤドリギノの種子などです.観察会を通して,動植物の冬の生態,冬を越すための戦略など多岐に渡るお話を聞くことができました.また雪の感触を充分に感じた観察会となりました.[こうのやよい]

【みなさんの印象に残った物】
「足跡が沢山見れたこと」「冬に生きる虫」「ノウサギが見られた.雪上のカワゲラ初でした.」「冬に雪の上に虫がいるということ.小さいのでわかりにくいけれどもとっても意外でした.」「うさぎ追いし かの川」「鳥が少ない.雪に足がめりこんだ.」「ウサギのねどこを見たこと.(2)」「ウサギとウサギの休んでいる穴を見て爪のあとが見れたこと.」「トビムシなど雪の上にもけっこう沢山いるのに驚いた.」「ウサギを見たこと.」「ウサギの巣.木の実.」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「今日は観察をするのに天気も良く,大変楽しく過ごせました.」「町内に住みながら,分からないことが多かった.」「かんじきのありがたさを感じました.雪中行は初めての経験でした」「ヤドリギの実を食べた鳥のフンのネバネバには驚きました.」「諸々大変興味深く,おもしろかったです.ふぶきでないのでよかったです.」「鳥があまり見られなかったのが残念.」「先生の説明がとても良い.小さな虫でも寒い雪の中に生きていることに感動する.」「鳥を見たかった.去年は多くいたが,今年は見れず残念.」「雪の中の動物の足跡で,キツネ・ウサギ・テンなどの種類が見れたこと.」「雨も降らずいろんなものが見られて楽しかったです.」「たくさんの足跡を見ることができてよかったです.」「冬の生物の生態系がよく分かりました.」


かんじきを初めて履く参加者もいて,ひもの結び方にとまどっていた.
色とりどり,形さまざまな雪歩きのアイテムが揃った.

歩き始めてすぐ,小さな小さな昆虫を発見.みんなで近寄って観察.
目をこらしてみると,確かにいる! これはトビムシ.

踏みあとのない雪の中をさくさくと歩く.少し重ための雪だった.
雪景色の中,目立っていたカラコギカエデの種.

目の前に現れたジョウビタキのオス.おなかのオレンジ色が特長だ.
ウサギがかじったカラコギカエデの枝.

横に2つ,縦に2つが特長のウサギの足跡.
扇谷の上では風が強く,びょうびょうと吹いていた.

ノリウツギは花びらがそのまま残っており,目を楽しませてくれた.
ヌルデの冬芽.

これは・・? ウサギの寝床の入り口を発見.
交代で穴の中をのぞき込んでみる.

ヤドリギの実を食べた鳥のフン. ねばねばしているので,木につきやすくなっているそう.
ツグミのフンかな? カンボクを食べたよう.

カンボクの味見をしてみた. 「えぐい・・」
橋の上の積雪を見ると70cmほどだった.

最初は歩きづらそうだった子どもの参加者も最後には雪に慣れ,楽しそうに歩いていた.
風で折れて下に落ちていたヤドリギ.せっかくの機会なので,種を観察.

ヤドリギの下でまとめをして,解散した.