西中国山地自然史研究会 観察会
雪原のトレッキング

【案内文】
2 月中旬から積雪がなかったため, 今年は早く雪が消えそうです. いきものや植物たちはどんな姿で春を待っているのでしょうか. 春の訪れを感じながら, ゆっくりと歩いて観察しましょう.
開催日時:3月8日(日) 10:00
集合場所:高原の自然館
準備:基本セット,かんじき(レンタルもあります\200)
講師:上野吉雄
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
ちょっと冷え込みましたが,その分日中は晴天で気持ちよい中,観察会の始まりです.雪のすっかり消えたパークゴルフ場を横切り,まずはモグラのお話.そこここにモグラ塚(モグラがトンネルを掘り進んで途中とこどころ地上に土を出した跡)がありました.このあたりにいるのはコウベモグラです.ミミズを食べるモグラは,歯がすり減ると寿命がつきるそうです.ホオジロの♀がノリウツギの小枝にとまり,チチっと地鳴きしていました.ハタネズミが掘り進んだ溝跡にはフンがあり,ほんのり草色をしていました.アカゲラがキッキッキと鳴き,♀の姿を確認できました.そしてオオアカゲラも双眼鏡で確認することができ,大きさ・色の違いをはっきり見ることができました.ウサギのフンも雪解けで,まるで一カ所でしたように多数見ることができました.クマイチゴは1メートル以上も上の枝がすっぱり喰いきられていて,冬の積雪量を知ることができました.常緑のエゾユズリハも,冬はネズミやヤマドリのエサになり,所々食いちぎられていました.登り切って千町原を見渡せる扇谷ではイノシシの堀跡も見られました.雪が解け,日差しも暖かいのでちょこちょこ動き回るジグモも観察できました.まだ動きの鈍いカナヘビは捕まえられて,みんなの注目を浴びました・ホオジロの♂が二足歩行でエサをついばんでいる姿やソングポストで春の縄張り宣言をしている姿も数カ所見ることできました.また,ノスリは2羽が交互に空中で交差し,急降下して波状ディスプレイする姿を観察できました.その他にウソ・ツグミ・ヒヨドリ・トビも観察できました.ハシバミの雄花はまだ固そうでしたが,ハンノキの雄花はもうかなり伸びきって今春の受粉も間近です.クロモジの花芽と葉芽,ホオノキの冬芽,雪解けで緑の姿を現したコバノフユイチゴなど,春に備える植物の姿も色々観察できました.昨年使用のメジロの巣・カラスの巣も見ることができました.残念ながら雪は所々に残るだけでしたが,冬の痕跡と春の訪れをゆっくり楽しめた観察会でした.(やなぎざきのぶこ)

【みなさんの印象に残った物】
「モグラの寿命と歯の関係」「ノスリのディスプレイが見れた事」「オオアカゲラ ノスリのディスプレイ(2)」「オオアカゲラ」「鳥がよく見えた」「ノスリを観察出来た.カラスの巣が見られた」「ホオジロの鳴いている顔を初めて見て カワイらしいと思ったこと」「メジロの巣(きれいな丸半分出来てる所に感心した.)ウサギのフン,カラスの巣(おおざっぱな感じ)ホオジロの姿が双眼鏡ではっきり見えた.」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「分かりやすく説明していただいて良かった」「天気もよくこれからの野や山に行ける事の楽しさを感じさせてくれるトレッキングでした.雪がなくて残念でした.」「天気もよく気持ちよく観察できました.鳥がたくさん見れてよかったです.ホオジロが縄張り宣言をがんばっていました.」「ホオジロがたくさん観察できました.なわばり50m〜がよくわかりました」「風もあまりなく,天気にめぐまれて,とても楽しく歩きました.思ったより雪が少なかった」「春へむかって生きものが変化しているのを感じることができました.」「雪がなくていまいちでしたがそれなりに観察出来て(春芽など)よかった」「空気がキレイで体調が良くなりました.野鳥観察の楽しさを知ることができました.」「前回とまた違い,雪が溶けて野鳥や植物の花芽が観察でき,春を感じる事ができた.」


モグラが活動したことがわかるモグラ塚がいたるところにあった.
コチラはハタネズミの活動跡.塚がないので,モグラと違うことが分かる.

丸くて常緑の葉が目立っていたコバノフユイチゴ.
クマイチゴの枝を見ると,高いところまでかじられた跡があり,積雪の高さが窺える.

ホオジロの姿を図鑑で確認中.
雪がないので,足取りも軽やかにトレッキング.

上野先生の説明を聞きながら,ノスリのディスプレイを観察中.
まだ動きが鈍いカナヘビ.おかげでじっくり観察できた.

いちはやくナワバリを張るためにさえずるホオジロ(♂).
地面に張り付いているのが,栄養葉,冬でも目立っている方が胞子葉と2つの葉をもつイヌガンソク.

テンが登った爪痕を発見.
カマキリの卵をゲット!おうちには持ち込まないようにと,みんなが心配.

メジロの巣を発見.巣材の一部にナイロン製のロープが使われるようになり,ヒナの巣立ち時の事故があることを聞いた.
最後のまとめ.今回の観察会では,鳥をたくさん見ることができた.

恒例のアンケートに記入中.みなさんからの声は,来年度の活動に活用する予定.