西中国山地自然史研究会 観察会
カスミサンショウウオの産卵調査

【案内文】
毎年行われているカスミサンショウウオの産卵調査です.班にわかれ,卵塊や成体を探す,5感を使う調査です.初心者でも簡単に行える調査ですので,お気軽にご参加下さい.
開催日時:4月29日(水) 9:30
集合場所:高原の自然館
準備:作業セット
講師:内藤順一
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
霧ヶ谷湿原に導水路が張り巡らされる工事が終了して,はじめてのモニタリングです.昨年の調査では,補助導水路にたくさんの卵塊が見られました.また,カスミサンショウウオも湿原内に産卵していました.さて,今年はどうでしょうか?高原の自然館でサンショウウオについてのレクチャーを受けた後,3人のキッズを含む10人で調査に向かいました.
はじめに,「カスミサンショウウオの産卵環境」を観察し,どのような場所に,どのような状態で産卵するのかを確認しました.このときに,卵塊を守る親も見ることができました.自然状態での産卵を確認した後は,いよいよ再生事業地での調査開始です.2班に分かれて,川の両岸を上りながら,導水路の中に産み付けられた卵塊を探しました.今回はGPSを使って位置を記録したので,調査票への記入が楽にできました.お昼までに調査した,約1/3程度の範囲では,ヤマアカガエルの幼生とアカガエルの卵塊が多く見られ,アマガエルも産卵していました.ただ,昨年は見られたヒキガエルや,水路内のカスミサンショウウオの卵塊は確認できませんでした.ちなみに,午後から内藤先生,スタッフなど数人で行った補足調査では,ヒキガエルの幼生が確認できました.カスミサンショウウオも,最整地内にできた湿地に,本来の姿で産卵していました.一昨年までならば排水升に落ちて無駄になっていたはずの個体が,再生事業によって,産卵場所を得たというのは嬉しい結果でした.参加した子供達にとってはミズカマキリやオオコオイムシを観察できたことが,卵塊が増えていることよりも嬉しかったようですが・・・.
内藤先生からは,時間はかかるだろうが湿地内へのカスミサンショウウオ個体群の再生も可能だろうというコメントをいただきました.これからも研究会でしっかりと見守っていきましょう.[しらかわかつのぶ]

【みなさんの印象に残った物】
「カエルの卵,おたまじゃくしをたくさん見られたこと」「コオイムシ」「大量のオタマジャクシ.」「コオイムシ,ヤマカガシ」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「やはり自然の中がいいです.天気も良く,とてもリフレッシュできました.」「再生事業地の今後が楽しみです.」「だいぶ水があふれる感じになってきて,今後が楽しみです.」「天気も良く,調査が楽だった.カスミの卵がなく残念.」


高原の自然館で,広島県のサンショウウオについて説明を聞いた.
卵塊を探しながら,カスミサンショウウオの産卵環境を観察する.

卵塊と親が見つかった.
恐る恐る触ってみる.

いよいよ調査開始.こちらは左岸チーム
水路をくまなく探していく.

ヤマカガシがいたので,束の間,しっかり観察.
「カスミおったよー」の内藤先生の声に向かう右岸チーム.

産み付けられたばかりのニホンアカガエルの卵塊.
ヒキガエルは,ひも状の卵塊を生む.幼生は尾芽胚の状態で孵化する.

茶色くて大きいのがヤマアカガエル,真っ黒で小さいのがヒキガエル.
最後に各班の状況を報告した.報告中もヤマカガシに見入る子ども達.