西中国山地自然史研究会 観察会
霧ヶ谷湿原の植生モニタリング 夏

【案内文】
今年で自然再生事業の工事が終了する霧ヶ谷湿原の植生を調査します.工事後,どのように植生が変化していくのか,研究会でデータをとり,霧ヶ谷湿原を見守っていきましょう.観察会とはまた違った視点で植物を見ることができますよ.初心者の方も大歓迎です.
開催日時:6月27日(土) 9:30
集合場所:高原の自然館
準備:作業セット
講師:佐久間智子・小宮啓吾
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
霧ヶ谷湿原の再整地で行う,はじめての植生モニタリングには,6人の参加者が集いました.調査に入る前に,高原の自然館内で,これまでの調査結果や,今日の調査目的を確認しました.参加者の認識を共有した後,快晴の空の下,現地に向かい,打合せをした後で,3つの班に分かれました.少人数だったこともあり,慣れた調子で調査を進めました.今回の調査は,秋以降も,年2回の頻度で続けていく予定なので,散策道の設置が予定されているルートに添って,行われました.これは,工事完了後も,湿地にできるだけ踏み込まずに調査ができるように,という配慮からです.
13時近くに,予定していた14地点の調査を終えました.各班の状況を報告し,それぞれの印象を発表しました.イが優占する場所や,工事後のような場所でも,見た目よりもかなり種数が多いことが分かりました.全ての班を通じて,最も種数が多い地点では,1m×1mの中に26種が確認されました.一方,最も種数が少なかったミゾソバの群落では,わずか6種が確認されたのみでした.実際に調査してみると,実験地とも状況がかなり異なることが分かりました.特に,工事の際に重機で土を動かした場所ではイが繁茂し,土を動かさずに水が廻った場所ではマアザミ群落に近づいていることが分かりました.今後も,どのように植生が変化していくか楽しみです.第1回の調査として,良い調査ができたと感じました.[しらかわかつのぶ]

【みなさんの印象に残った物】
「川のむこう側は,かなりマアサミ群落に近づいていた.工事の時に土を動かさなかったのが良かったのか?」「フランスギク(2)」「フランスギクのお花畑(2)」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「これから先が楽しみです」「少人数でしたが,ゆっくり,じっくり観察できてとてもよかったです.」「湿地になってきている部分がどうなっていくのか楽しみです.」「外来種は,何か必要なのかと感じます.」「湿地によみがえる事を望むばかりです.」「外来種の力の強さを感じました.」


ミゾソバが占有していたプロット.
フランス菊のお花畑.外来種の強さに驚く.見た目はきれいでも,思いは複雑.

水辺には,工事の影響が見られた.
1m×1mの中にある植物を,全て記録した.

右側が1班,左側が2班のメンバー.気温が高く,日差しも強い日だったので汗だくになりつつ調査した.
傍らのノイバラにとまっていた,小さなゾウムシ.