西中国山地自然史研究会 観察会
サツキマスの観察会

【案内文】
サツキマスの生態を資料や映像で学んだ後,産卵のため遡上してきている姿を観察しに川に行きます.産卵床の様子や群泳も見ることができるかもしれません.10月とはいえ,八幡は冷え込みます.暖かい服装でお越しください.
開催日時:10月10日(土) 9:30
集合場所:八幡高原センター
準備:基本セット,双眼鏡
講師:内藤順一
定員数:30人
主催:高原の自然館,西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
冷え込んだ朝の高原センターに,32名の参加者が集まりました.その顔ぶれは親子連れや,釣り好きの人達が多いようです.今日の講師,内藤先生は,サツキマスという魚が,昔の芸北で,どのように認識されていたのか,近縁種との分類がどのように進んだのかなど,プロジェクターを使いながら,分かりやすく丁寧にサツキマスのことを教えて下さいました.特に,北米などにも遡上するサクラマスに対し,サツキマスは世界の中でも西日本にしか生息しない固有種であるというお話しは,とても興味深いものでした.また,水中での産卵の様子を撮影したビデオでは,サツキマスの習性やアマゴとの関係などが良く分かり,撮影の苦労話なども聞かせていただきました.室内で十分にレクチャーを受けた後,いよいよ本物のサツキマスを見に行きます.出発の前に,内藤先生は,産卵を終えて死んだサツキマスの標本を見せて下さいました.
サツキマスが遡上してくるのは小さな小川です.産卵場所を覗き込むと,大きなメスが川底の砂を巻き上げていました.内藤先生によると,既に産卵を終え,卵を守っているところだそうです.前日まではたくさんの個体が泳いでいたそうで,夜の内に産卵を終えたのだろう,ということでした.それでも,川の中を注意深く見てみると,婚姻色が出て赤くなったオスも見ることができました.観察の後には,ブラックバスなど外来種との関係,ダム建設など人間との関係など,参加者からも色々な質問が出ました.日本固有種のサツキマスがこれからも暮らしていけるような環境を残していきたいと思いました.[しらかわかつのぶ]

【みなさんの印象に残った物】
「サツキマスががんばっているところ」「サツキマスが産床をみたこと」「サツキマスを見ることができたこと(7)」「とっても,きれいにサツキマスが見れたこと」「初めてサツキマスを見れて感動した.スライドを使用し,様々な説明を聞けて良かった」「川の中で卵を守っている姿」「産卵場所が危険な状況であったこと」「実物のサツキマスを見れたこと」「実際にサツキマスが見れた事が嬉しかったです」「サツキマスのオスとメスがいっしょになったのがすごい」「サツキマスのペアが見れたこと」「先生の熱心さ,本当に好きなのだなと思った」「サツキマスのビデオを見たこと」「肉眼でサツキマスが見れたこ(2)」「今年もサツキマスを観察できて感動しました」「サツキマスがいたこと」「川でサツキマスを見たこと」「ビデオ」「アマゴ,サツキマスの姿」「オス,メス両方見れたこと」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「うまれて初めてみたのでよかった(2)」「自然の力はすごいと思いました」「とても良い研究会でした」「実際にサツキマスがみられて良かったです」「また,じっくり見てみたいと思った」「産卵床は瀬頭に作る,川はあればいいというものではないとわかった」「ビデオより現地の時間が長い方がいい」「もっと魚について調べたいです」「有意義であった」「同じ魚なのに,成長のしかたが違っておもしろかった.」「釣りをするのですが,魚の大変さが良く判りました.小さな魚はリリースして,川をきれいにしなければいけないと思います」「感動です」「かわいい」「自然を大事にしなければと思った」「大変よかった」「また見たいです」「ダムの利用について考えさせられました」「また見たいです.もっと詳しく知りたいです」「観察会も子供が多くメンバーも新しくなった感じ」「もう少しあちこち歩きたかった」「産卵床できる場所は意外に少ないという話が印象に残りました」「河川を自然の状態で残してあげないとサツキマスが生息できないことがよくわかりました」「河川利用の不条理さを再考させられた」「勉強になりました」「実際に見れて良かった」


大きな写真を使いながら解説する内藤先生.
サツキマスが産卵する瞬間.参加者からは感嘆の声が上がった.

産卵を終えて死んだ,サツキマスのメス(上)とオス(下)の標本.
メスの体には,モリで突かれたような傷があった.(※この時期,サケ科魚類の捕獲は禁止されています)

現地では,色々な質問が出ていた.
産卵場所を覗き込む.

橋の上から観察した.