西中国山地自然史研究会 観察会
冬を生きる動物たちの生態

【案内文】
冬を生きる動物たちは,雪の上で様々なサインを見せてくれます.足跡,フン,食痕など,先生の説明をきくとサインの意味がよりわかり,動物たちを身近に感じることができるでしょう.雪上を歩けるアイテムと服装でお越し下さい.
開催日時:1月16日(土) 10:00
集合場所:高原の自然館
準備:基本セット,かんじき(レンタルあり),スノーシュー
講師:上野吉雄
定員数:30人
主催:高原の自然館,西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
前日まで雪がよく降り,道路の凍結などの心配がありましたが,当日は久しぶりによく晴れたとても良い観察会日和となり,17名の参加者が高原の自然館前に集合しました.今回の講師は,上野吉雄先生です.まずは事前勉強のため,高原の自然館の中で,どのような生きものが冬に活動しているかを学びました.タヌキやテンなどの剥製を見ながら,毛触り,指の数,どのような生活をしているのかを学び,姿や足跡を見ることができるといいなと思いながら,参加者の皆さんとカンジキを履いて,千町原をめざして出発しました.連日雪が降り続けていたため,積雪は80cmを超えており,道がわからないほどの雪景色!雪を積もらせたカラコギカエデやノリウツギなどが枝を曲げながらも耐えていました.少し歩いて行くと,ウサギが活動した痕跡を見つけました.足跡や木をかじった痕,フンなど,姿は見えなくともウサギがどの方向に移動し,どのような事をしたのかを,上野先生の実演を含めた説明があり,とてもよくわかりました.句碑のある方へしばらく歩いていくと,キツネの足跡を見つけました.足跡の先には,尿をした痕跡があり,臭いをかいでみましたが,とても甘くしばらく鼻に付くような強烈な臭いでした.雪上には,トビムシやガガンボの仲間など雪での生活をしている小さな昆虫も見つかり,動物以外にも冬を生活している生きものが見られました.冬が教えてくれる生きものたちの生態は面白く,動物の姿を見ることはできませんでしたが,どのように生活しているかがわかり,冬だからこそ楽しめる観察会となりました.[しんぽゆうすけ]

【みなさんの印象に残った物】
「昆虫がいたこと」「自然界の動植物の生態が分かった気がする.」「たくさんの足跡」「キツネのマーキングの匂いが甘い.」「キツネのマーキングの匂いが強烈でした.」「雪が多かった.きれい.」「冬の中にいるセッケイカワゲラの仲間」「先生の熱心な説明.」「動物の足跡しかない.雪原が大変きれいだった.」「テンの足跡」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「動植物の生態が少し分かって良かったです.」「雪の中の公園を歩くのもいいと思いました.」「たくさんの雪!」「かんじきを履いて雪の中を歩いても沈まない.」「初めてかんじきを履きました.」「今日は足跡をたくさん見られて嬉しかった.」「冬の雪の中でも動物たちは生きているのがわかりおもしろい.」「雪の中を歩くのは気持ちよかったです.」「上野先生の説明が良いし,天気にも恵まれ楽しかったです.」「ウサギを追いかけているみたい.あとキツネの神秘性について知りたい.」


高原の自然館内の展示をみながら,動物たちの生態を説明する上野先生.
アナグマの毛をおそるおそるさわってみる.

カンジキ作りの先生である坂井さんに教えていただき,カンジキを履く.
雪にすっぽりと覆われた山麓庵と自然館.

千町原へ向かって丘を登る.ふかふかとした新雪だった.
丘に上がると苅尾が見えた.

日が射すと樹氷が白く輝く苅尾山.
カンジキを履かずに歩くとこの深さ.

足跡や食痕を探すと生きものの存在が感じられる.
ウサギの足跡を発見.足跡から大きめの個体だと推測した.

白い雪の上にポツンと落ちていたこの種は・・ カラコギカエデだった.
カラコギカエデの種子散布について話す白川学芸員.

刃物で切ったように見える木の切り口はウサギの食痕.
まっすぐ一直線についている足跡はキツネ.

鳥声に静かに耳を傾ける.
ふたつ揃ってうる足跡はテン.

見上げると何かの実がたくさんついている. 何だろう??
木の下に落ちていたオオウラジロノキの実.

動物が登った跡がないか調べる上野先生と白川学芸員.