西中国山地自然史研究会 観察会
早春のトレッキング 

【案内文】
暖冬の影響で,3月には雪がないかもしれません.雪の下で春をまつ植物や,はやくもなわばりを主張する鳥の姿を見ることができるでしょう.冬の痕跡と春の兆しを感じられるトレッキングです.
開催日時:3月6日(土) 10:00
集合場所:高原の自然館
準備:基本セット
講師:佐久間智子
定員数:30人
主催:高原の自然館,西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
暖かい2月の風が,雪をすっかり溶かしてしまいました.小雨模様ながら気温は低くなく,まさに春先のトレッキングとなりました.参加者は14人.講師の佐久間先生に案内されながら,自然館を出発しました.水口谷から流れてきた小川では,ネコヤナギの新芽が雨に濡れていました.雪があっても無くても,ネコヤナギはこの時期に芽を開きます.花が咲くまでにはもう少し時間がかかりますが,八幡高原で春を予感させる植物です.雪が無くなったワタデガハラでは,冬の間にハタネズミが餌を探した溝が見えます.点々と見えるモグラ塚は,春の訪れを待っていたモグラが「ようやく土を出せる」と喜んでいる姿を想像させます.水口谷湿原の植物は,まだじっとしているようでしたが,雪解け水が多くながれていました.ミズガ垰に登っていくと,そこから霧ヶ谷湿原へと新しい散策道が続いています.カンボクとカラコギカエデのトンネルを抜けると,視界が開け,木道が伸びています.遠くには,アテツマンサクが1株,黄色い花を咲かせていました.川沿いには,もうフキノトウが出ていました.再生事業でコンクリートが撤去された水路には砂が貯まり,自然の河川のようになっていました.霧ヶ谷湿原の導水路に生き物たちの姿は見えませんでしたが,暖かくなれば,カエルの卵やタカハヤが見られる,楽しい木道になることでしょう.帰りに水口谷の山際を通るときに,僅かに雪が見られましたが,扇谷の上から見た苅尾にも,ほとんど雪がありませんでした.自然館に戻ると13時になろうとしていました.花はほとんどありませんでしたが,時間がアッという間に過ぎた,充実した観察会でした.[しらかわかつのぶ]

【みなさんの印象に残った物】
「ヤドリギの種の粘りけについて何度か話を聞いていましたが想像以上でおどろきました」「はじめての道を通った事」「最初の木道歩き」「ハンノキの種が湿地に沢山落ちてた。育てば湿地がハンノキ林になるかと思うと想像してみる」「芽吹きの八幡の春が待ち遠しい」「再生の湿原地」「自分の知らない植物が春はまだかと春をまつ様子がわかった」「湿原の木道を歩けたこと」「マンサクの花、ヤドリギのこと」「霧ヶ谷の木道を観察会で最初に歩けて良かったです。」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「雪がある時とない時とでまたちがった印象をうけました」「楽しかったです」「雨が上がり気持ちよく歩けました」「雨も降らずにおわってよかったが、道具類を忘れてきたのが残念」「まんさくの花が春の使者のようだ」「とても楽しかった。久しぶり。」「また、次の時は鳥とか違った植物をみたい」「寒さもなく、とても楽しい一日でした。手のしわの話はおもしろかった」「春はまだまだと思っていたけれど、皆様と歩いていると,春がすぐそこまで来ていることが感じることができ嬉しかったです.」


高原の自然館前から観察を開始.講師は佐久間先生.
ネコヤナギが開きはじめていた.

ワタデガハラにはたくさんの「モグラ塚」.ハタネズミが雪の下で餌を探したトンネルも,雪が溶けて溝になっていた.
冬も葉をつけているショウジョウバカマ.

ノギランは冬に地上の葉を枯らす.ショウジョウバカマと似ているようでも,この季節には違いがはっきりしている.
水口谷湿原は,雪解けで水が豊富だった.

草花の気配はまだ無い.
出来上がったばかりの,霧ヶ谷湿原の木道.

フキノトウが出ていた.
再生された水路沿いを歩く.

少し広い木道.車いすでも通れるようになっている.
これはヘラオオバコ・・・かな?春になったら確認しに来よう.

キブシの開花も,間近.