西中国山地自然史研究会 観察会
自然再生勉強会

【案内文】
広島県が2007年から行った八幡湿原自然再生事業の工事が終了しました.この湿原には霧ヶ谷湿原という名前がつけられています.遊歩道も設置され,自然観察もできるようになりました.完成を記念し,自然再生事業のこと・これからの霧ヶ谷湿原のこと・湿原のいきもののことなどを勉強する観察会を行います.新しい八幡のホットスポットで春を始めませんか?
開催日時:4月24日(土) 9:30
集合場所:高原の自然館
準備:基本セット・弁当
講師:岩見潤治・上野吉雄・暮町昌保・佐久間智子・白川勝信・内藤順一・和田秀次
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
2007年から始まった広島県による自然再生事業の工事が完了しました.この機会に自然再生事業の全容や現地の様子,湿原の動植物についての勉強会を開催しました.47名の参加者のみなさんと,高原の自然館を出発し,水口谷湿原を通り,一旦道路にでて霧ヶ谷湿原のオープニングセレモニーに参加し,霧ヶ谷湿原の木道を歩くというコースで歩きました.昆虫担当の岩見先生は,湿地になっているところや,水路にザルをいれ,水中にすむいきものを紹介してくださいました.中でもサナエトンボとオニヤンマのヤゴが印象的でした.両生類・魚類担当の内藤先生からは,カスミサンショウウオの卵塊やヤマアカガエルのオタマジャクシを教えていただいたり,シマヘビやジムグリの赤ちゃんをつかまえ,生態を教えていただきました.ヘビにさわっているときの子どもたちの瞳は真剣で.きらきらと輝いていました.動物担当の上野先生からは,湿原の上を飛ぶハイタカを教えていただきました.植物担当の暮町先生,佐久間先生,和田先生からは,歩きながら見ることのできた,植物の名前や生態を教えていただきました.高原の自然館の白川学芸員は,工事による場所の変化やいきものの生息の変化など,自然再生事業全体のお話や,湿原の成り立ちやそこにすむいきものの生態など多くのことを説明しました.途中に雨が降り,大変寒い中での勉強会となりましたが,それぞれの専門の先生から.興味深いお話が聞けたり,寒い中だからこそ春を感じることができたりと,湿原の恵みを大いに体感しました.途中で参加したオープニングセレモニーでは,霧ヶ谷湿原の入り口のテープカットも行われ,完成した喜びをみんなで分かち合いました.様々な方に楽しんでもらえる場所,さらには湿原や自然について考えたり感じたりできる場所であり続けるよう,みんなで知恵と力を出し合い.この霧ヶ谷湿原を見守っていきたいと願います.(こうのやよい)

【みなさんの印象に残った物】
「工事完了したばかりの湿原をたくさんの人が,歩いていること.」「寒かったです.」「木道を歩いたこと」「ジムグリ.幼蛇の目撃」「湿原再生への思い」「自然再生事業で砂の流出がとまること.」「遊歩道(木道)の整備」「ジムグリ,シマヘビ(2)」「霧ヶ谷湿原の中を歩けたこと」「春の野を歩けたこと.すばらしかった.」「ジムグリを無邪気にさわる子どもたち.」「オープニングセレモニー」「カスミサンショウウオの卵塊(2)」「自然再生が少しづつ始まっている.」「自然再生」「ヤマカガシなど実物を見ることができたこと.」「ヘビの幼生(2)」「いろんな生物にあったこと」「湿原再生をとなりの比較できて良かった.」「カスミサンショウウオ」「ヘビの幼生の美しさ.」「来る度に変化している湿原の姿.それと寒さ.」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「自然が好きな人が沢山来る場所であり続けるようになんとかしたい.」「再生事業の工事を感じた」「最初の雨が寒かったが,後半は気持ちよい時間を,子どもともども楽しめた.」「寒い日でしたが,いろいろ生き物が観察できてよかったです.」「楽しい観察会でした.(2)」「講師陣が揃っていたため,多くのことが学べた.」「寒かったけれど,春を感じました.」「いろいろと専門の先生方の説明が聞けたのでよかった.」「再生工事を始める前から来ていたので,完成したことに感動しました.久々に豊かな自然に囲まれて癒されました.」「新鮮なかんじがした.」「これからもたびたび見に来たいと思いました.」「霧ヶ谷のこれからが大変かな?多少の手入れが必要か.」「いよいよオープン.これからが楽しみ.」「湿原の観察会は楽しかった.」「それぞれの分野の専門の方による分かりやすい説明が印象に残った.」「四季を通じて来てみたい」「天気がどうなるかと思いましたが,晴れて良かった.」「大変良かった.(2)」「悪天候の中,スタッフの方々の気遣いを感じよかったです.」「湿原再生.今後が楽しみ.」「コースが長いので,見所がたくさんある.」


水口谷湿原へいく道から,急にお天気が崩れ,カサやカッパが必要となった.
ハンカイソウのつぼみが少しだけ.

ハンノキ林の中で,ハンノキや湿原性の植物について説明があった.
細い木道を歩ききったところで,ヤドリキを見つけ観察した.

カスミサンショウウオの卵塊を発見.
霧ヶ谷湿原の観察路入り口のササのなかから,内藤先生が見つけた,シマヘビの幼蛇.ウロコの数を数えたり,模様をじっくり眺めたり,ちらちら出ている舌先が二つに分かれているのを確認したりと,子どもたちは大忙しだった.

霧ヶ谷湿原の完成を祝って,テープカット.大きな拍手がわきあがった.
霧ヶ谷湿原の広い木道をすすんでゆく.全体が見渡せるよい場所だ.

はらっぱーバッジも発見!近々仲間が増えるとか!?
岩見先生がザルを使って水の中をすくうと・・トビケラが見つかった.「見た目には何もいないかのように見えますが,実は水の中には多くのいきものがいるんですよ」と岩見先生.

主水路の上流では,堰をつくり,土砂の流出を防ぐ工夫がされている.自然再生事業にてどのような工法が使われたのかを白川学芸員が説明中.
水辺をザルですくってみると,ヤゴを発見.大きい方がオニヤンマ.小さい方がサナエトンボ.

ジムグリの幼蛇.成体と比べると色が鮮やかだ.
丘の上から千町原を望む.気持ちのいい場所だ.

まだ動きの鈍いカナヘビ.