西中国山地自然史研究会 観察会
霧ヶ谷湿原の植生調査 夏

【案内文】
工事が完成した霧ヶ谷湿原の植生調査を行います.1m×1mのプロットの中にある植物を班にわかれてデータをとっていきます,どんな植物が優占しているのか,去年と比べて変化があるのか,場所によってどんな違いがあるのか,など観察会とはまた違う視点で楽しめる調査です.初めての方も大歓迎です.
開催日時:6月26日(土) 9:30
集合場所:高原の自然館
準備:作業セット
講師:大竹邦暁・佐久間智子・白川勝信
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
昨年度に自然再生工事が完了した霧ヶ谷湿原で,工事直後の状態を調べるための植生調査を行いました.昨年にも,木道設置予定ルートに沿って調査をしましたが,木道設置工事のために重機が動いた影響が見られるため,今回の調査を「工事完了直後の調査」と位置付け,今後続けられるモニタリングの基礎データとすることにしました.
参加者9人が3つの斑に別れて,調査を進めていきました.今回は,大竹邦暁さん,佐久間智子さん,白川の3人が班長です.1m×1mの調査枠を設置し,枠の中に生えている植物を全て記録するとともに,種ごとに被度(どのくらい覆っているか)・郡度(どのくらいまとまって生えているか)・高さを記録し,写真を撮影しました.
同じように重機の影響を受けているように見えても,プロットごとに生えている植物の種類や繁茂状況は少しずつ異なっていたようです.多くの調査区で見られたのがミゾソバとイでした.また,アメリカセンダングサやフランスギクなど,外来種が多く生育する調査区もありました.一方で,外来種がほとんど見られない場所もあり,工事直後にも多様な植物群落が見られることが分かりました.
調査の後,調査をしながら感じたことを話し合いました.昨年は広く繁茂していた外来種が少なかったこと,水の流れが変わった場所があったことなどが感想として上がりました.雨の心配をしていましたが,ほとんど降られずに,12プロットの調査を1時間30分ほどで終えることができました.今後は,もう重機が入ることは無いはずです.今日の結果をもとに,静かに霧ヶ谷湿原の変化を見守って行きましょう.[しらかわかつのぶ]

※写真提供:大竹邦暁さん・佐久間智子さん

【みなさんの印象に残った物】
「木道がきれいに整備されていたこと」「2年余りの植生調査で色々と思い出す事が多かった」「木道のほとりの機械が入った所で種類が少なかった事」「湿地生の植物が確認されたが,外来種も多く確認された」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「時間の経過とともにどのように変化していくのか非常に楽しみです」「植生にもう変化の生じているプロットもあったこと」「皆様の努力が実って良い湿地なる事を望みます」「これから継続的にデータをとり,経年的な変化をみていくことが重要だと感じました」


3斑に別れて調査を進めた.
植物の高さを測る.

小さな植物も見逃さないよう,じっくりとさがす.
赤ちゃんがいても,木道沿いなら調査に参加できる.

最後に,それぞれ感じたことを共有して解散した.
プロット3(木道No.107番付近)

プロット6(木道No.82番付近)
プロット9(木道No.68番付近)

プロット1(木道No.118番付近)
プロット4(木道No.96番付近)

プロット7(木道No.77番付近)
プロット10(木道No.63番付近)

プロット2
プロット5(木道No.86番付近)

プロット8(木道No.71番付近)
プロット11(木道No.47番付近)