西中国山地自然史研究会 観察会
霧ヶ谷湿原 夏のいきもの観察会

【案内文】
人気の観察会のひとつです.霧ヶ谷湿原を歩きながら,植物・昆虫,それぞれが専門の先生からの丁寧な説明を聞くことができます.また,植物と昆虫のつながりや,花や虫の名前の由来など,この観察会ならではの楽しいお話もあります.
開催日時:7月11日(日) 9:30
集合場所:高原の自然館
準備:
講師:岩見潤治・和田秀次
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
前日からの雨があがらず,降ったり止んだりの中で,霧ヶ谷湿原のいきもの観察会が行われました.参加者は12名です.今回の講師は,植物担当の和田先生と昆虫担当の岩見先生です.自然館を出発し,水口谷湿原を通り,霧ヶ谷湿原へ向いました.カラコギカエデがたくさん実をつけており,和田先生からカラコギカエデの実のひみつを教えていただきました.木道ではハンカイソウやチダケサシ,トモエソウ,ホソバヨツバムグラ,コバギボウシ,オカトラノオ,ヒヨドリバナ,オトギリソウ,など,花を咲かせた植物をたくさん見ることができました.また,雨の中でも飛んでいたルリシジミやアサヒナカワトンボの姿も見ることができました.水辺では,トビケラの幼虫やヤゴを観察しました.トビケラは種類によって巣の素材が異なり,小石で作ったもの,枯れ葉でつくったものといろいろ観察できました.水中で移動している姿をみつけ,びっくりしました.他にもしっぽが3つのモンカゲロウの幼虫や,「ちょろ」と呼ばれるヒラタカゲロウの仲間の幼虫,ススキの葉を巻き巣にしているカバキコマチグモ,ハートマーク模様のエサキモンキツノカメムシなど,様々ないきものの姿を見て,名前やどんなくらしをしているのかをじっくり教えていただきました.霧ヶ谷湿原の木道を歩いていると,モリアオガエルもいました.イカルやホオジロの鳴き声も聞こえます.数時間歩いてみただけでも,湿地性の植物や動物を確認することができ,霧ヶ谷湿原が工事によって湿原化し,もとの湿原の姿を取り戻しているんだなぁと実感しとてもうれしかったです.生物の多様性が問われる現在ですが,私たちの身近にある自然から学ぶことは多く,こういった場所を大切にすることが重要なんだなと再確認しました.得るものが多く,とっても楽しい観察会でした.(こうのやよい)

【みなさんの印象に残った物】
「アサヒナカワトンボ」「色々なカゲロウ幼虫とオトシブミの巣」「カバキコマチグモの強そうな顔でした」「ムカシトンボがヤゴで水中に7年も生活していると聞いておどろいた.」「ヤゴが見れたこと」「トビケラ」「コマチグモを見たこと」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「用水路でカワトンボの色彩が気になっていました.種・生態などの説明を聞いたので,次回の調査では,その気で観察してみます」「雨がひどくなくてよかった」「実物を手にとって見れてよかった」「先生方がたくさんいらして雨の中でしたが楽しかったです」「毒グモ,カバキコマチグモが小さい時から遊びで身近にいたこと」「とてもよかった」「雨でしたが思いのほか,いろいろな生き物が見られて面白かったです」「雨が降って大変だったけどいろいろ見れて良かったです」


自然館に集合して,今日のルートのお話など.
カラコギカエデの実をとばしてみよう!

和田先生がお手本を.
岩見先生も .「こうやって遠くまで種が散布されるんだね,ふむふむ.」

岩見先生の秘策でヤマカガシの観察.毒を持つヘビなので注意が必要.
「ヘビのしっぽはどこからか」の説明をする内藤先生.ウロコの数がヒントのよう.

木の上にホオジロを発見.双眼鏡で観察する.
土を掘り起こした跡があった.「イノシシのしわざでしょう」と上野先生.

きれいな花だ〜と近寄ってみると,外来種のワルナスビ.
ススキの葉になにかあるぞ?近寄ってみると・・

葉を折り曲げて作った巣が!巣主のカバキコマチグモがいた.
近くにオスもいた.

原始的な顔つきだね,と話題になったカワゲラの成虫.
サナエトンボのヤゴかな?

水の中をザルですくって,中を見てみると・・
湿原の中でひときわ目を惹くハンカイソウ.

オカトラノオがたくさん咲いていた.
岩見先生,おすすめのオトシブミの図鑑.

この場所にはどんないきものが住んでいるのかな?楽しみ〜.
ノハナショウブの姿も見える.紫の花弁の中の黄色いすじが特長だそう.

水の中のいきものには子ども達も興味津々.今度は何がいた?
霧ヶ谷湿原を歩く.

木道のそばの木にモリアオガエルがいた.双眼鏡で見ると,目のまわりの金色が確認できた,
霧ヶ谷湿原の生き物を紹介している看板.今日はいくつ見られたかな?

葉がくるくると巻かれているのを発見.
岩見先生が図鑑を示して説明.

雨の中,きらきら銀色にひかる幼虫を見つけた.ガの仲間かな?
道路脇でトモエソウを見つけた.巴の形をしているのが名前の由来.

ツノハシバミの芽を観察中.