西中国山地自然史研究会 観察会
カワシンジュガイの観察会

【案内文】
毎年恒例のカワシンジュガイの観察会です.最初に講師よりスライドをみながら,カワシンジュガイの生態についての講義があります.その後,現地へ行き,実際にカワシンジュガイの生息している環境を体験しながら,観察をします.川に入ることのできる服装でお越しください.
開催日時:8月1日(日) 9:30
集合場所:芸北文化ホール
準備:基本セット.水中メガネ,箱メガネ,網
講師:内藤順一
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
フィールドに出る前に,まず芸北文化ホールで「カワシンジュガイの繁殖生態と保護」と題して,資料・パソコンを使っての講義がありました.カワシンジュガイの分布域や.氷河期の生残りで絶滅危惧種であること.北広島町の天然記念物であることの説明がありました.また.北広島町(旧芸北町)での発見と同定依頼の際の話や,保護・繁殖依頼により研究を続けられた経緯,ほ場整備後の河川の環境指導など,写真を見ながら興味深い話をたくさんしていただきました.発見当時から芸北でずっとカワシンジュガイに関わって来たということで近藤紘史理事長も参加し,昔はこどもの頃から「立ちっ貝」といって川でたくさん見ていた話や,戦時中の食糧難の時代には,おいしくなかったけど食用にした話も聞きました.中国地方での分布・発見の経緯や現状,日本全国での調査研究・参考見学の話もおもしろく聞かせていただきました.実際に繁殖生態の解明や写真説明は個体数が少ない中で,長年の地道な研究で大変な御苦労があったのだろう事が想像されました.カワシンジュガイとアブラボテは「相利共生」と考えられていたが,「片利共生」であったこと,アマゴのエラに4月から2ヶ月寄生してから川底での生活に移行すること,生息域の河川環境やアマゴの生息域,アマゴ解禁の影響などいろいろ考えさせられることの多い話でした.講義質問の終了後,現地へ移動して実際にカワシンジュガイとご対面です.川の水が「冷たい」と実感しながら,流れのある中央ではなく川の端の草の根元の方に意外と簡単にカワシンジュガイを見つけることができて,「ここにも」,「ここにも」,とみなさん大喜びです.周辺を泳いでいるアブラボテの雄の婚姻色を確認したり.カワムツの雄の婚姻色の赤色を観察しました.「久しぶりに見た」とサワガニを捕まえる人,箱眼鏡で水中をのぞきっぱなしの人,石に張り付いているプラナリアを観察する人と,みなさん講義・現地観察とも十分楽しまれたのではないでしょうか.(やなぎざきのぶこ)

【みなさんの印象に残った物】
「本物のカワシンジュガイを見られたこと.」「実際に川の中に生息しているカワシンジュガイを観察できたこと.」「カワシンジュガイが意外に大きかった.」「意外にすぐカワシンジュガイが見れたこと」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「環境とは何か.他者に説明する上で参考になりました.」「このような機会がなければ見ることができないので貴重な体験になりました.」「生息できる川の環境が非常に限られた範囲になっている水温,底の状態,共生する魚の種類」「気軽な観察会で面白かった」


芸北文化ホールにて,講義の始まり.
カワシンジュガイとアブラボテ

「立ちっ貝」と呼ばれるいろいろな淡水二枚貝の紹介.
「ここらを探してみてください」と言われ懸命に探す参加者.

「いた,いた」とそぉっと観察.
アブラボテの雄の婚姻色.

きたひろネットによる水中撮影.
観察会終了後,内藤先生から補足説明があった.