西中国山地自然史研究会 観察会
霧ヶ谷湿原 秋のいきもの観察会

【案内文】
夏に続き,霧ヶ谷湿原のいきもの観察会です.秋の気配に包まれた湿原ではどんな花や昆虫を見ることができるのでしょうか?遊歩道を歩きながら,ゆっくりじっくりと観察しましょう.
開催日時:9月12日(日) 9:30
集合場所:高原の自然館
準備:基本セット
講師:岩見潤治・和田秀次
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
猛暑のニュースが続く中,すでに暑さとは無縁の八幡高原に22名の参加者が集いました.講師は夏の観察会に続き,和田先生と岩見先生です.高原の自然館前で,注意事項を確認した後,歩いて出発しました.湿原にたどりつくまでにも,満開のマツムシソウやそこにやってくる昆虫,草原に休むアカトンボなど,観察対象は盛りだくさんです.霧ヶ谷湿原の手前にある水口谷湿原では,ゴマナ,タンナトリカブトなど,秋の花が咲いています.ヨシの茎で休息するシュレーゲルアオガエルも見られました.
水口谷を抜けて霧ヶ谷の再生事業地にたどり着くと,カラコギカエデのトンネルが迎えてくれます.プロペラ状の実を付けていますが,少し数が少ないようです.足下はピンクのミゾソバと青いツユクサが彩ります.そのトンネルを抜けると,木道の始まりです.遠目には夏に比べて色褪せたように見える霧ヶ谷ですが,ゴマナやオタカラコウが点々と咲いています.最初のパネルでは,「導水路を使って水を行き渡らせる」という,再生事業の方法について説明していただきました.パネルのそば,湿原の中央を流れる河川を岩見先生がひとすくいすると,ムカシトンボのヤゴやサワガニなど,小さな生物が色々と入っています.細い木道を進んでいくと,アキアカネ,ノシメトンボ,ミヤマアカネなど,アカトンボの仲間が次々に見られます.再生した水路にはタカハヤが泳ぎ,フトヒルムシロが葉を広げていました.ぐるりと一周し,道路沿いのパネルのところでは,霧ヶ谷の変遷と再生の全体像,実験地について説明していただき,復路をたどりました.お昼過ぎまでの観察会でしたが,動物・植物ともに色々なものを観察することができ,また,湿原の再生も実感できる観察会でした.[しらかわかつのぶ]

【みなさんの印象に残った物】
「いろいろな生き物が関係を持って生息していること.特に動くもの(昆虫)は面白いですね.」「水路に昆虫が住み始めた事.」「湿原のちがいがよくわかりました.(再生部分と元の部分)」「カヤネズミの巣を見たこと.」「事業の内容や動物の名前の由来」「ネズミの巣を初めて見ました.」「昨年も観察会に参加しましたが,今年は植生が変化しており,毎年楽しめる観察会であると感じました.来年も参加したいです.」「オオヘリカメムシの美臭」「湿地をすくって水生昆虫を観察したこと」「自然石の水路」「昆虫の話」「オオヘリカメムシのにおい」「マルハバチの幼虫」「ミヤマアカネ」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「気候もちょうど良く,ゆっくり歩けたので楽しく活動できました.お疲れさまでした.」「木道が完成して自然の観察が常に出来るようになって良かった.」「とても勉強になりました.」「たのしかった」「楽しい雰囲気でよかった.」「楽しかったです.」「初めて来てみて,大変勉強になった.」「植物だけでなく,昆虫のことも理解することが大切だと思いました.」「気持ちのよい時間でした.ありがとうございました.」「久しぶりの観察会,忘れていた植物の名前を思い出し楽しい一日でした.」「楽しい時間でした.」「涼しく秋風のにおいを感じた.」「じっくり湿原を観察できてよかったです.」「時間がすぎるのが早かった.仲間と歩くと楽しい.」


自然館の前で今日の観察コースを説明.
出発してすぐ,マツムシソウには色々な虫がやってきていた.

ヌルデにできた虫こぶ.
水口谷湿原のタンナトリカブト.

水口谷湿原では「散策マップ」を使って植物を確認.
花盛りを迎えたソバナ.

夏に咲いていたコオニユリは実になっていた.
霧ヶ谷湿原の入口で,休憩がてら説明する和田先生.

パネルを示しながらの導水方法についての説明を聞く.
改修された水路から岩見先生が落ち葉をすくい上げた.

落ち葉の中にいた,小さなサワガニ.
橋の上から川底を覗き込む.

霧ヶ谷湿原で見つけたカヤネズミの巣.
タカハヤがたくさん見られた溜まり.

導水路にはカワニナが見られた.