西中国山地自然史研究会 観察会
霧ヶ谷湿原の植生調査 秋

【案内文】
こちらも夏に引き続き,霧ヶ谷湿原の植生調査を行います.モニタリングを続けている場所で,植物の細かなデータを班にわかれてとります.継続することによって,湿原化していく姿が見えてくる重要な調査です.調査の楽しさがわかる機会です.初めての方も気軽にご参加ください.
開催日時:9月26日(日) 13:30
集合場所:高原の自然館
準備:作業セット
講師:大竹邦暁・佐久間智子・白川勝信・和田秀次
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
団体での参加も含め,19人での調査になりました.講師はお馴染みの和田さん,大竹さん,佐久間さん,そして白川の4人です.現地に移動する前に,高原の自然館前で植生調査の方法について説明しました.不明な点への質問もあり,参加者のやる気が伺えました.現地では,はじめにパネルを使って,自然再生事業の概要について説明しました.各班で調査道具を持ち,夏の調査記録を分配しました.この記録に従って,調査地へと移動していきます.霧ヶ谷湿原の木道には番号が振ってあるので,簡単に場所を特定できます.今回は初めて参加される方が多かったのですが,各班とも順調に進みました.調査区が進むにつれて,植物の名前だけでなく「被度」や「群度」などの評価も参加者の方自身でされるようになり,手際が良くなっていきました.しかし,慣れた頃には予定していた地点の調査を終えてしまいました.早く終わった班は,それぞれの班の講師に連れられて植物観察をして,ツリフネソウやアキグミの実を見つけたようです.すべての班が調査を終えて戻ってきたところで,和田さんから,八幡湿原自然再生事業のきっかけとなった,自然史研究会による実験について説明していただきました.最後に,各班の状況を紹介していただき,感想を言い合いました.「わずか1平方メートルの中に,たくさんの植物があって驚いた」という方が多かったようです.また,講師の佐久間さんからは,夏の調査時とずいぶん植物が変わったという指摘がありました.大人数の調査でしたが,木道があるおかげで,湿原を傷めずに植生調査を体験できました.[しらかわかつのぶ]

【みなさんの印象に残った物】
「湿原の広さ(初めて湿原に来ましたが,尾崎谷湿原との違いに驚きました.) 」「人間の営みというものは,試行錯誤の繰り返しであって,いじらしいものであるということ.」「植物の名前がわかった事.」「アケボノソウの多いのに感動でした.」「広さ」「1m区画の中で20種類程 多くの植物があった.」「湿原再生への努力と熱意」「自然のままに再生していくことは大変困難ではあるが,その方向性は,これからの環境を考えるともっとも重要だと思う.」「調査は初めての経験で大変楽しく思いました.」「湿原が復活する様子が見られたこと.」「草の名前を沢山おぼえたこと.」「湿原の再生される様子.」「アメリカネナシカズラ」「植物の生き残るための多様な戦略」「植物の多様性」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「植生調査自体も初めてでしたが,楽しかったです.」「その中にあって,自己の目標を定め,営々と湿原生物,その他の生存に力を尽くしている人人(今日のリーダー)がいることへの感銘.」「調べるということは,じみな仕事であり,永く続けて行く事が大切だと思いました.」「初めての体験でしたが,大変楽しかったです.」「小さなスペースにたくさんの植物が生きていることに感動!それらの名前をよくご存知だと講師にも感心しました.」「植物の名前がわかる書物等あった方が良い・今度くる時自分自身で実感できるから」「楽しかった」「非常に勉強になった.」「また経験したいと考えます.」「久しぶりに調査に参加して,楽しむことができました.」「小さい花がせいいっぱい咲いていることに感心した.」「初めてで面白く感じました.」「6月からの変化におどろいた」「植物のしたたかさと人間の自然への大きな影響力を考える必要」「わずか1平方メートルの中に実にいろいろな植物があることがわかり,とても興味深かったです.来年の春,今日調べた所がどうなっているのか,楽しみです.」


秋を迎えた霧ヶ谷湿原.
各班に別れて調査を進める.

木道の上から植生高や被度・群度を測る.
小さな植物も見逃さないようによーく観察.

夏には植生が疎だった場所も,草に覆われていた.