西中国山地自然史研究会 観察会
ゴギの観察会(大朝)

【案内文】
大朝公民館でスライドを見ながらゴギについて事前勉強を行います.その後ゴギが生息する川に移動し,ゴギや産卵場所をじっくり観察しましょう.大朝地区では初めての観察会となります.歩きやすい服装でお越しください.
開催日時:11月7日(日) 9:30
集合場所:大朝公民館(北広島町大朝支所内)
準備:基本セット,双眼鏡
講師:内藤順一
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
曇り空の中,10名の参加者が大朝公民館に集合しました.ゴギの観察会は大朝地区では今回が初めてです.どんな観察会になるのかわくわくしながら,まずは室内で内藤先生からお話を聞きました.ゴギとは中国山地の源流に生息するイワナ類で,体に有する瞳大の白い斑紋が頭部まであるのが特長です.資料を見ながら,ゴギの発見,他のイワナ類との区別,名前の由来などのお話を聞きました.続いて,生息地域の様子や,産卵の様子をビデオに撮ってある映像を見ながら,詳しく解説していただきました.メスが産卵床を作るため,流れの淀むような場所を選び,尾びれを使って懸命に砂などを取り除いている場面があり,産卵の準備の様子が大変よくわかりました.オスとペアになってからも,産卵までに長い時間をかけるそうで,内藤先生の撮影は時には10時間にも及ぶと聞きました.そのご苦労のおかげで,産卵の映像も見ることができました.メスが産卵床に尻ビレを埋め込むようにして産卵し,オスがそれにあわせて放精します.オスが産卵を促すために何度も側に行っては離れ・・を繰り返していたのが印象的でした.メスは産卵が終わるとその周りを体をくねらせるようにして泳ぐ「舞の行動」が始まります.現地でもこの様子をみることができ,幸運でした.知識を得た後は,実際のゴギを観察にいきました.紅葉がピークを迎え,とても気持ちのいい空気の中,ゴギに出会うことができました.ゴギが生息できる環境は限られており,小渓流の中でも小さな淀みがあること,ゴギのえさとなる昆虫の棲む広葉樹の森が必要であることと教えていただきました.ゴギが生息していることは,生き物の多様性があるという証だとわかりました.参加者からの質問より,ゴギの寿命はほぼ4年であること,オスが川をパトロールしてメスを探すこと,産卵後オスは次のメスを探しにいくことなど,ゴギの生態を詳しく知ることができ,大変有意義な観察会となりました.「幻の魚ゴギ」といわれるゆえんにも触れることができました.[こうのやよい]

【みなさんの印象に残った物】
「ゴギの産卵が見れた事」「ゴギがみれてうれしかった」「ゴギがねばり強くペアで泳いでいる姿」「ゴギの舞が見れたこと」「ゴギを自分の目で見れたこと」「ビデオでなく生でゴギの姿,舞,生息環境が見れたこと」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「ペアが協力する様子が大変よかったです.内藤先生のお話もよかったです.」「めずらしい魚がみれてうれしかった」「ちょっとした流れでも,ゴギの生存をちゃんと地域ごとに守っていく事の大切を改めて感じた」「長い時間をかけて産卵床をつくること.子孫を残すのは大変なんだなあと思いました.」「このような機会は多くないので大変よかったです.」「内藤先生のお話がとてもわかりやすくて,よかったです.ありがとうございました.」


内藤先生のお話を資料を見ながらじっくりと聞く.
調査中の体験や苦労話など,内藤先生ならではのエピソードもあり興味深かった.

内藤先生作成の資料.種名の考察や地方名などがあげられておりおもしろい.
「あ,おるおる!」と静かに興奮.

そおっと観察.肉眼でも見えるくらい近く,観察にはぴったりの場所だった.
葉の色と似ていてわかりにくいが,ペアのゴギがいる.

寄り添うようにして泳ぐオスとメス.
ゴギの生息環境は小さな渓流で,小さな淀みがあるところ.

取材中のNHKの撮影クルーが水中カメラでゴギを撮影中.水中での様子がよくわかった.