【報告文】
曇り空の中,10名の参加者が大朝公民館に集合しました.ゴギの観察会は大朝地区では今回が初めてです.どんな観察会になるのかわくわくしながら,まずは室内で内藤先生からお話を聞きました.ゴギとは中国山地の源流に生息するイワナ類で,体に有する瞳大の白い斑紋が頭部まであるのが特長です.資料を見ながら,ゴギの発見,他のイワナ類との区別,名前の由来などのお話を聞きました.続いて,生息地域の様子や,産卵の様子をビデオに撮ってある映像を見ながら,詳しく解説していただきました.メスが産卵床を作るため,流れの淀むような場所を選び,尾びれを使って懸命に砂などを取り除いている場面があり,産卵の準備の様子が大変よくわかりました.オスとペアになってからも,産卵までに長い時間をかけるそうで,内藤先生の撮影は時には10時間にも及ぶと聞きました.そのご苦労のおかげで,産卵の映像も見ることができました.メスが産卵床に尻ビレを埋め込むようにして産卵し,オスがそれにあわせて放精します.オスが産卵を促すために何度も側に行っては離れ・・を繰り返していたのが印象的でした.メスは産卵が終わるとその周りを体をくねらせるようにして泳ぐ「舞の行動」が始まります.現地でもこの様子をみることができ,幸運でした.知識を得た後は,実際のゴギを観察にいきました.紅葉がピークを迎え,とても気持ちのいい空気の中,ゴギに出会うことができました.ゴギが生息できる環境は限られており,小渓流の中でも小さな淀みがあること,ゴギのえさとなる昆虫の棲む広葉樹の森が必要であることと教えていただきました.ゴギが生息していることは,生き物の多様性があるという証だとわかりました.参加者からの質問より,ゴギの寿命はほぼ4年であること,オスが川をパトロールしてメスを探すこと,産卵後オスは次のメスを探しにいくことなど,ゴギの生態を詳しく知ることができ,大変有意義な観察会となりました.「幻の魚ゴギ」といわれるゆえんにも触れることができました.[こうのやよい]
【みなさんの印象に残った物】
「ゴギの産卵が見れた事」「ゴギがみれてうれしかった」「ゴギがねばり強くペアで泳いでいる姿」「ゴギの舞が見れたこと」「ゴギを自分の目で見れたこと」「ビデオでなく生でゴギの姿,舞,生息環境が見れたこと」
【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「ペアが協力する様子が大変よかったです.内藤先生のお話もよかったです.」「めずらしい魚がみれてうれしかった」「ちょっとした流れでも,ゴギの生存をちゃんと地域ごとに守っていく事の大切を改めて感じた」「長い時間をかけて産卵床をつくること.子孫を残すのは大変なんだなあと思いました.」「このような機会は多くないので大変よかったです.」「内藤先生のお話がとてもわかりやすくて,よかったです.ありがとうございました.」 |