【報告文】
2004年度の活動は湿原再生プロジェクトからはじまりました.失われた湿原生態系を再生するために私たちが始めた活動も,今年で3年目になり,昨年度からは広島県の「臥竜山麓自然再生事業」として発展的に拡大しました.これまでは主に現状を記録する調査を行ってきましたが,今年度は「実際に施行を行って湿原を復元することは可能なのか?」ということを探るために,実験地を設置し,追跡調査を行っていきます. 湿原の成立には水が必要です.地面から水がわき出すような山裾や谷底では自然の湿原ができますが,このような環境をつくり出すには非常に大きな労力が必要となりますし,確実にそのような環境がつくれるのかどうかという点において,多くの不確定な要素があります.一方,湿原ができるのは湧水のある場所だけではなく,流れてきた水が溜まるような場所にも見られます.そこで,今回は棚田のように水をたたえた場所を創出することを試みます. 今回は,その実験地を設置するという重要な作業を行いました.土木的な作業を伴うので,事前にプロの方(地元の藤原さん.かりお茶屋のご主人でもあります)に相談に乗って頂きました.現地を見ながら協議した結果,牧場造成時に造られた水路を決壊させて,斜面全体に水をまわす方法が良いのではないか,ということになりました.藤原さんには水路を決壊させるために重機を使った施工もしていただきました.この場を借りてお礼申しあげます. さて,いよいよ当日.当初の申し込みよりも多くの方が集まりました.サクラやコブシが咲き,快晴の山歩きにはもってこいの日でしたが,山歩きではなく,自然再生の作業を選ぶ人がこれだけいることを頼もしく思いました.一日心地よい汗を流して小さな棚田(?)ができました.土嶽を通る時には,ぜひ水を確認してみてください. |