【報告文】
例年よりも2週間遅らせたことで,ブナはすっかり葉を落としてからの開催となりました.今年も室内で説明を聞いたのですが,サツキマスだけでなく,カワシンジュガイのことにも話が及びました.カワシンジュガイは芸北町の天然記念物で,西中国山地の個体群は分布の南限にあたります.水田の圃場整備などで生息地が激減し,各地で絶滅が危ぶまれています.芸北町の個体群も,絶滅寸前にあると思われていましたが,今年の夏,まとまった個体群が見つかりました.さらに,カワシンジュガイに産卵するアブラボテも見つかり,うれしいニュースが重なりました.室内での解説が終わると,いよいよ野外での観察です.例年,実績のある場所をまわったのですが,一方の観察ポイントではほとんど見られませんでした.これは「大水で登っていったのでは?」という推論が出ました.観察会はここで一旦終わったのですが,観察会終了後に上流部を確認しに行き,上流への遡上を確認された方もあったようです.僕も4匹の遡上を確認しました.台風の大水は各地に大きな被害をもたらしましたが,サツキマスにとっては良い年だったようですね.できることなら,毎年上流まで遡上できるような河川環境を作っていきたいものです.[し] |