西中国山地自然史研究会 観察会
サツキマスの産卵

【案内文】
稲刈りの終わったこの時期,八幡の柴木川には,アマゴが聖湖でマス化したサツキマスが遡上してきます.本来なら海で大きく生長するところが,ダム湖の建設によりサツキマスの生活史も変わってしまいました.また,最近ではブラックバスの放流などにより,ますます問題は複雑になっています.サツキマスと産卵床を観察しながら,川の環境について考えてみませんか?
開催日時:10月24日(日) 9:30
集合場所:高原の自然館
準備:双眼鏡,筆記用具等 (川の上から見るので,長靴等は不要です.子供にもオススメです.)
講師:内藤 順一
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館,芸北町民文化ホール

【報告文】
例年よりも2週間遅らせたことで,ブナはすっかり葉を落としてからの開催となりました.今年も室内で説明を聞いたのですが,サツキマスだけでなく,カワシンジュガイのことにも話が及びました.カワシンジュガイは芸北町の天然記念物で,西中国山地の個体群は分布の南限にあたります.水田の圃場整備などで生息地が激減し,各地で絶滅が危ぶまれています.芸北町の個体群も,絶滅寸前にあると思われていましたが,今年の夏,まとまった個体群が見つかりました.さらに,カワシンジュガイに産卵するアブラボテも見つかり,うれしいニュースが重なりました.室内での解説が終わると,いよいよ野外での観察です.例年,実績のある場所をまわったのですが,一方の観察ポイントではほとんど見られませんでした.これは「大水で登っていったのでは?」という推論が出ました.観察会はここで一旦終わったのですが,観察会終了後に上流部を確認しに行き,上流への遡上を確認された方もあったようです.僕も4匹の遡上を確認しました.台風の大水は各地に大きな被害をもたらしましたが,サツキマスにとっては良い年だったようですね.できることなら,毎年上流まで遡上できるような河川環境を作っていきたいものです.[し]

高原センターでスライドを使っての説明からスタート.もうこたつが登場.
続いては,サツキマスの産卵の瞬間と,カワシンジュガイのビデオ.

アマゴのエラに寄生したカワシンジュガイの幼生も,鮮明に見ることができた.
観察ポイントで現れたサツキマス.メスは産卵床を掘るために,尾びれがぼろぼろになる.産卵は命がけだ.

観察ポイント2.ここは,例年実績のあるポイント
みんなでサツキマスを探す.

ちょっとしたよどみには小さな魚が群れていた.サツキマスもいたらしい.
しかし,例年に比べて極端に個体数が少ない.なぜか?

今年は台風や秋雨によって川が増水し,上に登っていったのではないか,という推論.
魚道のこと,ブラックバスのこと,カワシンジュガイのこと・・・.話し合わなければならないことは山ほどある.


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