【報告文】
「環境保全」というタイトルに臆されたのか,8人という少人数の観察会になりました.湿原を歩くには丁度良い人数なのですが,コーディネーターは緊張しますね. はじめに自然館の中で昭和初期の写真や湿原の分布図を見ながら,カキツバタを取り巻く環境についてお話しました.基礎知識を頭に入れて頂いた後,「カキツバタの自生する水口谷湿原」「自生地そのものが消失してしまったあやめ池湿原」「環境が悪化しつつある私有地の湿原」の順に観察していきました.大きなテーマはカキツバタだったのですが,アズキナシ,ガマズミ,オトコヨウゾメ,ヤブデマリなどの白い花やヤマドリゼンマイの鮮やかな新葉を楽しんだり,大きなオオナルコユリの芽生えに驚いたりしながら湿原を歩き増した.どの湿原にも共通して言えることは,カキツバタが置かれている環境というのは必ずしも良いものではなく,むしろ,八幡は自然のカキツバタにとって住みにくい場所になっている,ということでした. 自生地を見学した後には,カキツバタの里づくり実行委員会が整備してきた休耕田に行きました.たくさんのカキツバタがきれいに咲きそろい,これまで見てきた3つの湿原とは全く違った様相でした.あぜ道を歩きながら周辺の植物を観察したり,植物の繁殖戦略の話をしたりしました.その後,会長の川内さんから会の敬意や今後の課題について話を頂きました. 自然館に帰ってからはそれぞれの感想を出し合いました.少人数で寂しい観察会になるかと思いきや,濃度の高い半日になりました.[し] 【参加者の感想】 「湿地は尾崎沼等しか知らなかったので,本日入った場所は新鮮でしたし,もう一度千町原を見直せたと思います.」「カキツバタは八幡湿原には欠かせない重要な植物だと再認識した.どう守るかしっかり考えたい.守り方にはいくつかのグレードを考えたい.A:現在の生育環境を維持する B:生育環境をもっと促進させる C:人口栽培により観光資源化する」「水口谷湿原のまわりからの低木の侵入が気になった.やはりアノ場所もだんだん小さくなっていくのでしょうか.」「昔と今,知ることが出来たこと収穫です.自然の姿(水口谷)に親しみを覚えました.」「当研究会もボランティアとして参加してはどうか.」 |