西中国山地自然史研究会 観察会
サクラソウ保全のはなし

【案内文】
北広島町美和地区(旧芸北町)では,芸北のサクラソウを保存し,育成する活動を2000年から続けてきました.遺伝子を使った最近の研究では,美和地区のサクラソウは,広島県東部や九州に自生する個体群とは異なる,独立した系統を確立していることが分かりました.今回は,その活動を紹介していただきながら,美和地区の自然観察を行います.観察会の後には,サクラソウを取り巻く環境について茶話会を設ける予定です.
開催日時:5月13日(土) 9:30
集合場所:美和文化センター
準備:山を歩ける服装,弁当,水筒,筆記用具など
講師:下杉孝
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館,芸北文化ホール

【報告文】
美和東文化センターに集まったときには雨が降っていました.それでも,参加者の皆さんの表情には,強い意志が見られました.文化センターの室内で,サクラソウに関するレクチャーを受け,質問を交換したあと,いよいよ現地を見るために外を歩きました.
美和東文化センターに隣接する圃場では,サクラソウがちょうど見頃を迎えていました.この圃場では,八幡のサクラソウをバイオテクノロジーで増やしたものが栽培されています.従って,どれも同じ花の形・・・のはずだったのですが,中にいくつか花の形や色が明らかに違う個体が混ざっていました.どの段階で入ってきたのかは分かりませんが,八幡とは別の遺伝子が入ってきたようです.自生地から花粉がもたらされたのかもしれません.
その後で自生地に移動し,自生地の置かれている環境やサクラソウの開花状況について観察しました.今年は花が遅いということで,まだつぼみの個体もありましたが,咲いている株をたくさん見ることができました.土地の持ち主の方も含め,今後の管理について話し合いました.
再び美和東文化センターに戻り,昼食をとってから今後のことについて話し合いました.美和のサクラソウを「美和桜草」と名付けよう,とにかく自生地で保護することを最優先に考えよう,小学生や地域の人たちに理解を広めよう,などの意見がかわされました.[し]

【みなさんの印象に残った物】
「地元(地主)の人が参加していたこと.」「「野にある花は野で護ろう」のテーマができたこと.」「地元の方々の「サクラソウの大切さを理解して広めていきたい」という思いの強さに感心しました.」「美和桜草の名前ができたこと(3)」「小学生の活動が楽しみ.」「美和桜草と呼ぶほどのプライドを持って守っていく.」「保全に向けての具体的な意見がたくさん出たこと.」「自生地に行き,実際に自分の目で見ることができた.」「美和桜草の花や形のちがい.」「昨年に比べて,あまり増えていないような気がする.増やすことを考えるように.」「きれいに咲いているサクラソウの花.地元の方や多くの方の熱意を感じたこと.」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「「美和桜草」の命名ができたことはよかった.」「何も知らない私でしたが,本当に勉強になりました.もっと美和の方々がこのような機会に参加され,大切さを実感してほしいです.」「花好きにもスタンスの差で善悪に分かれる.」「これからが楽しみです.」「地元の方がお元気なので・・・.」「楽しかった.子供たちが取り組んでいることがうれしい.」「地域の人の理解がやはり一番大事かと思います.サクラソウに限らず,生物の保護には最も大事でしょう.子供たちに関心をもってもらうこともすばらしい.遠回りのようでも近道だし,確実だと思います.」「“守っていく”という思いを持ち,活動していこうとするみなさんの熱意を感じました.」「花の形や色のちがいが見られておもしろかった.」「昨年より前進している.」「熱意のある話,具体的に護る方法ができた.」「下杉さんの説明がとても分かりやすかった.」「小学生の発表会も聞いてみたいです.(2)」


フィールドに出る前に,下杉さんにサクラソウの話を聞いた.
サクラソウの栽培圃場での観察.

「サクラソウを育てる会」のメンバーから話を聞く.
これが八幡産のサクラソウ.花の色が濃くて,切れ込みが深い.

圃場の中に花の違う個体を見つけた.
自生地に移動して観察.

これは自生地のサクラソウ.
自生地には,まだ開花していない株もあった.

地主さんと,環境を整える話ができた.
昼食をとりながら,議論は続いた.


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