西中国山地自然史研究会 観察会
裏匹見峡の植物観察

【案内文】
県境を越えて,日本海側の渓畔林を歩きます.一言で西中国山地と言っても,瀬戸内側と日本海側でずいぶんと様子が違います.そんな違いを見比べながら,夏の川辺を観察します.西中国山地自然史研究会にとって,はじめての場所です.
開催日時:6月10日(土) 9:30
集合場所:道の駅匹見峡
準備:山を歩ける服装,弁当,水筒,筆記用具など
講師:大野勉・和田秀次
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館,芸北文化ホール

【報告文】
集合場所の「道の駅匹見峡」は,八幡からほんの15分くらいの場所にできた,新しい道の駅です.とはいえ,和田先生の標高計では,300mほども下っているそうです.今日の観察はそんな「中間温帯」と呼ばれる気候帯です.この標高の特徴は,モミが見られることです.さらに,日本海側であり,渓谷沿いということで,芸北とはずいぶん異なる植物が見られました.
道の駅から車に分乗して15分程進むと,裏匹見峡の入り口に付きます.そこから沢沿いに作られた歩道を登りながら観察しました.足下が濡れていたり,一部滑りやすい場所もありましたが,歩きやすく整備されており,所々には植物の名前を書いたラベルが置かれていました.春の植物は多くが種になっていましたが,アジサイの仲間,シライトソウは今が見頃でした.特に樹木の種類が豊富で,二人の先生からは次々に説明が出てきました.途中の広い河原で昼食を取り,帰路は車道を通りました.車道沿いには渓流沿いとは違った植物があったり,樹木を上から見る事ができたりして,こちらも楽しく歩く事ができました.
駐車場に戻って観察したものを確認し,16:30ごろの解散になりました.樹木が64種類,花や実を付けた草本が22種類と,充実した観察会でした.[し]

【みなさんの印象に残ったもの】
「初めて見る木,草の多い事」「植物の種類の多さに,ビックリしました.名前を知らない事に驚きました.」「渓谷がとてもよかったです.」「渓谷の湿った環境の植物が多く見られて良かったです」「サワグルミの花,おとしぶみの葉の中に虫がいたこと」「木々の背が,とても高かった,水の流れが清々しかったこと.」「シライトソウ初めて見ました.」「植物(木)の種類が多かった.」「サガリゴケの一種が見られたこと.スミレサイシンって大きくなるんだな.」「ジガバチソウ」「ウワズミサクラに始まりサワグルミで終わる,木の実の不思議さに感銘」「沢登りと違った,植物の観察ができたこと.」「渓谷の植生−高原との違い.」「広島県の人が匹見に来てくれたこと.」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「参加者の方の知識が深いこと.木や草以外も詳しい.初参加なのでびっくりした」「自然の中を歩くのはすてきでした.」「あまりきつくない道のりで,観察も詳しくできて楽しかったです.」「ほとんど木の名前を知らないので,次々と名前がわかるのが楽しく思えました.」「川のそばを歩く.気持ちがよかった.」「やっぱり,渓谷って多様な植物があっておもしろいですね.」「森林浴を満喫し,満足.樹種も多々勉強になった.」「1人1人のテーマを決めて参加しては?ただついて歩くのではなく,個人のテーマを持って,最後に発表しては?」「変化が楽しめた.」「大変良い勉強になりました.」「川の音で声が届きにくかった.」「幅広い観察ができることが,楽しいので県境を越えた形があっても良いと思った.」


今日は和田先生と大野先生,二人が講師です.
ツキノワグマが大好きなウワミズザクラを使って,葉の付き方を説明.

ウワミズザクラはもう実になっていた.
ホオノキの実だけから生える子のう菌類,ホソツクシタケがたくさん生えていた.

渓谷沿いを進む.
コケが気になる人もいるようです.

渓谷のような湿った場所に特有のサガリゴケの一種.
並木に使われるケヤキも,本来は渓谷の植物.橋の上から観察.

下を覗き込むと,ヤシャゼンマイが端整に葉を広げていた.
萼を持たないコアジサイ.

萼のあるヤマアジサイ.
コガクウツギは,萼のあるアジサイの中では一番地味な花.

狭い道なので,一列になって進む.
昼食は河原で取った.流れの音が心地よいが,まだ少し肌寒い.

河原で休んでいたタゴガエル.
せせらぎでは,カジカガエルが縄張りを主張していた.

ツクバネソウはもう結実していた.
たくさん落ちていた雄花の正体はイイギリ.

「ぽとり」と落ちてきたオトシブミ.
水が澄んでいる.

タツナミソウがたくさん見られた.
一番目立っていたシライトソウ.

ヤマツツジは岸壁にちょこんと咲いていた.雨に濡れてきれい.
実をつけたスミレサイシン.葉が大きい.

途中で国道へと登る.
道路を付ける際に,岩を爆破した痕.導火線を通した穴がよくわかる.

サワグルミの大木が実を付けていた.壮観.
カエデドコロの葉がかわいい.

青葉がすばらしい渓谷だった.


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