西中国山地自然史研究会 観察会
氷河期の生き残り,カワシンジュガイの観察

【案内文】
芸北が世界の分布南限にあたるカワシンジュガイを観察します.カワシンジュガイは,河川の環境だけでなく,アマゴが居ないと繁殖できないうえ,アブラボテの繁殖に重要な役割を果たします.観察会では,これらの関係を整理して,現地で生息状況を観察します.岸からでも観察できますが,箱眼鏡などを使うと,より近くで観察できます.子供にオススメです.
開催日時:8月5日(土) 9:30
集合場所:芸北文化ホール
準備:水に入れる服装,(あれば)箱眼鏡,双眼鏡,弁当,メモ,おやつ 等
講師:内藤順一
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館,芸北文化ホール

【報告文】
芸北文化ホールで町の天然記念物であるカワシンジュガイの生活史や,日本の南限・世界の南限であるとの説明を聞きました.保護に関連したアマゴやアブラボテのこと,フィールドの確保など興味深いお話の後,現地へ出発しました.川の流れ方,砂礫の川底,ツルヨシの生えている環境を見てから,思い思いに川の中へ入ります.はじめは「水が冷た~い」と怖じ気づくものの,そのうち慣れてきて先生に箱めがねを借りたり,網でアブラボテやカワムツをすくったりして観察しました.貝が見つからなくて魚取りがメインになっているグループ,水中めがねでばっちり発見のグループなどありましたが,カワシンジュガイが見つかるとやっぱりみんな手に取って記念写真していました.川底に立っている「たちっかい」という方言どおりの様子も観察できて3センチ~8センチくらいの個体を5・6個水槽に捕獲し,サイズを測って,推定年齢を聞きました.昨年この場所には40~50個体いたそうですがが少なく,大水で流されたのかともしれないいうことでした.それぞれの個体を上下間違えないように川底に立ててもとにもどしました.その後すこし上流の100個体くらいいたところを岸から確認しましたが,崩れていて付近に何個体かを目視しただけでした.カワシンジュガイは100年くらいは生きるということですが,昨年確認の9.8ミリの個体から今日は8センチくらいの個体まで確認され,各世代を通じて生息しているようです.この環境が保たれることを願いながら解散しました.[や]

【みなさんの印象に残った物(抜粋)】
「カワシンジュガイが砂にささっているのを水中で見たこと.」「生きて,川底に存在している姿を見られたこと.この個体は,縦に直立していなかった.しかも,急流であったことに驚いた.」「カワシンジュガイの大きさ.」「カワシンジュガイを良く観察できた.貝とアマゴとアブラボテの共生関係が良く分かりました.」「カワシンジュガイ,アブラボテがたくさんいたこと.」「水が冷たい!!カワシンジュガイが砂にささって,パカッと開いているところ.」「「カワシンジュガイの生長に時間がかかるのに驚きました.」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「おもしろかったです.夢中になりました.」「1つの生物を増やすのも,環境全体を整えていかないといけないのですねー.」「子どもも川に入って貝を見つけることが出来,楽しめたようなので良かった.」「100年生きる事には驚きました.」「環境と生態系の面白さ.」「またサツキマスのときも来たいと思います.」「身近なところにとても大切な生き物がいる事を感じました.」「みんなでわいわい川に入って楽しかったです.」「来年はオオサンショウウオの調査をして欲しいです.」「またきます.」


水中めがね・シュノーケル等準備万端に川底をのぞいた.
こんなに深かった.

箱めがねや水中めがねで探した.水が冷た〜い.
「ほら,こんなに大きいの見つけた.」

カワシンジュガイを持って記念写真.
「ここ.立ってる様子を観察して.」

「ほら,そこにいる.」
水中での様子.

6センチくらいのカワシンジュガイ.40年くらいか?
「こんなに魚もいる.」みんな思い思いに探した.

「深いから気をつけて.」
アブラボテやカワムツをつかまえた.

「そのヨシのところに立っているよ.」
生息地はこれくらいの川の流れ,砂礫の川底という環境.

「ここは100個体くらいいたところですが,畦が崩れてカワシンジュガイはこの下ですね.」


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