西中国山地自然史研究会 観察会
アニマルトラッキング

【案内文】
毎年恒例の雪上観察会です.雪原を歩きながら,動物たちの冬の生態を探ります.一見何もないように見える雪景色でも,動物たちはたくましく生活しています.食べ痕や足跡,糞などを観察することで,どんな動物が何をしているかを知ることができます.雪の上を歩くだけでも楽しいですが,そんな視点を持って,雪原に出てみませんか?寒いので,しっかりと着込んで来てくださいね.
開催日時:1月21日(日) 10:00
集合場所:高原の自然館
準備:長靴,弁当,ルーペ,メモ,おやつ 等,(あれば)かんじき・スノーシュー・クロスカントリー用のスキー
講師:上野吉雄
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館,芸北文化ホール

【報告文】
昨年とは打って変わって積雪の少ない観察会でした.それでも動物の痕跡はいろいろあるものです.足跡はさすがに古くてわかりにくいものが多かったですが,それでも雪が少ないならではの観察ができました.土の付いた足跡から遊歩道の下をくぐって歩き回っていることが観察できました.雪の上ならではのフンの発見の多いこと.テンのフン?キツネのフン?タヌキのフン?と「?」のつくものばかりでしたが,みんなフンを探すの真剣でした.鳥のフンも雪上ならでは発見でしょう.葉が落ちた木にはヤママユガやウスタビガの繭の抜け殻が目に付き,クマ棚やクマの爪痕もたくさんありました.この時期は鳥の古巣も確認できて,下を見ながら歩き,時々は上を見てと,足跡ばかりではない痕跡発見の一日でした.[や]

冬の観察会に初めて参加しました.他の季節では見ることのできない,雪上での動物たちの痕跡に期待をふくらませ,上野先生をはじめ,22名の参加者の皆さんと,自然館前を出発しました.
水口谷方面へ入り,タヌキ・ウサギ・テンの足跡を見つけたり,クモやカワゲラなどの雪上の小さな虫たちに目をこらしたり,フンを見つけその中に入っているものを観察し,どの動物のフンであるかのお話を聞いたりしながら,どんどんと進みました.
水口谷から,猿木峠への登山道へ入りそこからは一列になって進みました.水口谷湿原とちがい,コナラなどの高い木々の下を,少し寒さを感じながら歩きました.樹上にクマが残したクマ棚も見られ,スギの皮をはがして食べた跡も見つかりました.鳥では,ヤマガラやコガラがいっしょに飛んでいる混群を見ました.ヤドリギの実が入ったフンを見つけて,鳥の食性とヤドリギの種の散布方法に密接な関係があることを聞きました.
今年は雪が大変少なく,ところによっては土が見えていたので,歩きやすかったように感じました.近くで動物たちの痕跡を見て,触れて,時にはにおいを嗅ぎ,どんな動物の残した痕跡なのかを想像するという感覚を使っての観察会は充実したものになりました.[こ]

【みなさんの印象に残った物】
「とちの実をひろったこと.」「動物の生活が分かったこと.ひのきの皮をめくって食べる熊の話.」「ふん中にねずみの頭骨があったこと.(2)」「足跡で動物の種を見分ける方法.木のこぶの原因.」「ふんの中の骨と先生の木登り.」「様々な生き物の生活を感じた.」「あんな高い所にクマだなが!!(2)」「食べ残されたカエル.(2)」「天気が良く,平素歩けないところを歩け,珍しい物の観察ができて良かった.」「くま棚の多さが印象に残りました.」「上野先生の木登り.」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「泥のついた足あと等,雪が少ない時ならではだと思います.動物の行動を想像できるのがおもしろいですね.」「フン一つでもいろんな発見があり,楽しかった.地面,樹上の様子からたくさんのことが分かってよかった.」「昨年とうってかわって雪が少なかったが,いろいろな生物の痕跡があった.」「いろいろ見ることができて楽しかったです」「足跡についてだけでなく,宿り木のお話や鳥のお話など,広い視点で教えていただけたのが良かったです.」「雪の中でも色々な虫や動物が活動しているのだなぁ,と思いました.」「とても勉強になりました.また自分でも歩いてみたいと感じました.」「動物のあとの見つけ方を勉強できました.教えてもらえる所はなかなかないので貴重な体験でした.」「もう少し雪があればよかった.」「見過ごしている自然を学べて良かった.」「久しぶりに雪の上を歩いて楽しかったです.」「虫,動物,ガ等,いろいろな話が聞けて楽しかった.」「フンから得られる情報の多さを改めて感じました.」


自然館前に集合.
早速モグラの穴の跡を発見.アズマモグラと思われる.

ヌルデの実は栄養価が高いので鳥のフンからよく出てくる.
見つけたフンをほぐして中身を調べる.

雪が少ない湿原は動物にとってはどのように感じるんだろうか?
どんな痕跡でも見逃さずにじっくりと観察する.

雪上にいたカワゲラ.雪の間の有機物などを食べている.
キツネのフン.素手でさわらないようにとの注意があり,観察.白い毛のようなものが見えた.

雪対策万全の足元.白い雪の上にカラフルな色がまぶしい.
テンが木道の下を通りぬけた跡を見つけた.

まん丸のウサギのフン.
葉がないのでヤドリギやクマ棚がよく目立っていた.

ヤドリギの実からでるねばねばを触ってみる.これが鳥の体についたり,フンから排泄され種が散布される.
コナラとミズナラの葉.さてどちらがどっち?? (こたえ:左がミズナラです)

ウサギの足跡.急斜面だったせいか足跡の間が広かった.
巣を発見!と同時にするすると木に登る上野先生.素早い身のこなしに参加者たちも感嘆の声.

巣立ち後のクロツグミの巣. コケなどで作られている.


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