【報告文】
記録的な暖冬のため,昨年のトレッキングとは打って変わって,まるで4月のような景色でした.スノーシューやかんじきも必要なく,自然館の中でレクチャーを受けた後,長靴で出発しました. 2月に雪が無いことで,普通の年では考えられないようなものがいろいろ見られました.たとえば,ネコヤナギがもう芽吹いていたり,例年なら雪の下にあるはずのハイイヌガヤが花を咲かせていたりしました.鳥の移動にも影響が出ているようで,4羽のイカルを見ることができました.また,ホオジロのさえずりも既に聞かれました.雪が無く,暖かい気候に敏感に反応している生き物の姿が見られました. ただ,少雪に敏感に反応するものばかりではなく,コナラなど多くの樹木は冬芽のままじっと過ごしていました.夏なら簡単に同定ができるナナカマドの冬姿や,クロモジのとがった葉芽・丸い花芽を観察しながら歩くと,雪は無くてもまだ春は遠いことが実感されました.草食性のハタネズミが植物の根を囓るために進んだ跡や,アズマモグラがトンネルを作るために掘り出した土の「モグラ塚」を見ると,冬でも土の中では生き物たちの生活が営まれていることが感じられました.
お昼前には山麓庵まで戻り,囲炉裏を囲んで食事を摂ったあと,歩きながら見たものを素材にして,みんなで俳句を詠みました.はじめはみなさん及び腰のようにみえましたが,なかなかどうして力作ぞろいでした.すっきりしないお天気でしたが,少し早い春の訪れを感じながら和んだトレッキングでした.[し]
※ カメラの準備が不十分で,多くの写真が携帯電話での撮影です.
画像が良くないのですが,どうかご容赦ください.
【みなさんの印象に残った物】
「ウサギに似たイノシシのフン」「ネコヤナギの芽吹き.」「イカル4羽.」「マムシグサ(解説がとてもおもしろかったです).」「雪がほとんど無かったこと.(2)」「雪の下でもめげないハタネズミのトンネルが,雪が無くなって見られたこと.」「ヤナギの春雨つぶ.」
【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「2月に,全く雪の無い道を歩き,不安な気持ちになりました.」「囲炉裏を囲んでの昼食と語り合いのひととき.人数が少ないのでマンツーマンの形式で話が聞けてよかった.」「できれば天気が良くなってほしかった.」「雪が無い八幡なんて八幡じゃないと思ったりもしたけど,八幡のいろいろな面が見られてよかったです.囲炉裏も趣がありました.」「ハタネズミの道など,雪が無いことで見ることができるものを楽しめた.」「雪のないスノートレッキングでしたが,雪がないならではの楽しみがありました.」「雪の無い年だから見つけられる発見もあり,いい観察会でした.」「少人数でうちとけて活動できた.」「記録的な暖冬なので,様々な生き物の様子を記録しておく必要がある.」「囲炉裏を囲んでの食事&句会は楽しかった(苦しかった).」「冬の芸北は初めてですが,芸北はどの季節も素敵ですね.」「本格的に木々や草花が芽吹き始めた後の観察会も楽しみにしています.」
雪解けて 張り合いなくす 松の枝
芽をだすな 霜に負けるよ カキツバタ
暖冬に イカル,ホオジロ やってくる
春雨や いろりを囲む 話し声
温暖化 来年どうなる 積雪は
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ホオジロの さえずりうれし 雪の道
残雪に 春遠からず ネコヤナギ
雪がない はたと困った ハタネズミ
雪がなく 遊んだ跡が みなばれる
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