西中国山地自然史研究会 観察会
カスミサンショウウオの産卵調査

【案内文】
春先,八幡湿原にはカスミサンショウウオが産卵のために集まってきます.この調査では,生み付けられた卵嚢の数や産卵場所を記録して,カスミサンショウウオの目から湿原の状態を見てみます.はたして,湿原の環境は保たれているのでしょうか?産卵を終えた雄は卵を守っているので,ひょっとしたら親にも会えるかもしれません.この調査は2003年から続けているもので,集められたデータは八幡湿原自然再生事業の基礎資料として使われています.子どもでもできる調査なので,ぜひご参加ください.
調査の後に,実験地の水路整備をします.手伝ってくださる方は,スコップやクワなどを持ってきてください.
開催日時:4月28日(土) 9:30
集合場所:高原の自然館
準備:作業セット,弁当
講師:内藤順一
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
はじめに,集まった20名の参加者のみなさんと一緒に自然館内の展示を見ながらお話を聞きました.講師の内藤先生より,ヒダサンショウウオ,ハコネサンショウウオ,ブチサンショウウオ,カスミサンショウウオ,オオサンショウウオの生態や生息環境の違いなどの解説がありました.今回調査するカスミサンショウウオは,止水性の湿地に生息し,低地型,高地型と分けられ,芸北では標高が高いのにもかかわらず,尾に黄条がある低地型の個体が生息しているとの事でした.
その後,二川キャンプ場に移動しました.調査方法を教えてもらい,4斑に別れ,班長さんについて調査開始です!野外での観察会にはもってこいの晴天でした.私は道路より西側の調査をする3斑になりました.生息していそうな水がたまったところを目をこらしてみたり,手を差しこみ卵塊があるかチェックしました.
すぐには見つかりませんでしたが,「あったーー!!」という子どもの声にみんなが集まり,卵塊を手にとりじっくり観察しました.すでに幼生の形になっている胚を見て,「かわいいね」という声があがっていました.卵の数を数え,卵塊を元通りにかえし,無事ふ化することを願いました.何カ所かで卵塊は発見しましたが,成体の姿は見あたりませんでした.
しばらく歩くと,道路沿いの側溝で,おびただしい数の卵塊を発見しました.側溝の水深は深く,ふつうなら産卵する環境ではないことから,成体がなんらかの理由で側溝に落ち,そこで産卵せざるを得ない状況になったのだろうという予想がなされました.ここでは卵塊が44個,成体が3匹見つかりました.
最後にキャンプ場に帰り,各班の報告を聞き,まとめをしました.カスミサンショウウオ以外にも,コオイムシ,アカハライモリ,ヤマアカガエルの卵やニホンヒキガエルの姿も見ることができました.今回の観察会では,子どもの参加者が多く,実際に自分たちで歩いてさがし,見て触れることができ,楽しそうに,そして興味深そうに卵塊や成体を観察していた姿が印象的でした.[こ]

【みなさんの印象に残った物】

「サンショウウオ」「コオイムシがたくさんいた.(2)」「カスミサンショウウオの中にいる赤ちゃん.」「卵胞の発見」「ますの中にたくさんの卵塊があったこと.(2)」「卵がたくさんあり,すでに発生しているものもあり驚いた.」「卵を実際に探して触れたこと.(2)」「ますの中の大きな卵塊」

【参加したみなさんの感想】

「うれしかった」「子どもがたくさん来ていて楽しかったです.」「サンショウウオにさわれてよかった.」「湿地に戻るとサンショウウオが増えるでしょう.」「天気も良くて気持ちよかったです.」「実際に見れてよかった.」「自然の中での多くの命.大切にしたいと再確認しました.」「久しぶりの成体が見れてうれしかったです.」「時間を忘れ,歩き回りました.」「子どもが小さかったので,移動が大変でした.子は大喜びでしたが,大人は疲れました.」「子どもも楽しんで参加できてよかったです.」「内藤先生の説明が熱心でよかったです.」「子どもが多いのがいい.」「ますのなかにたまってしまった卵をどうにかしたいですね.」「単なる湿地としか見れていませんでしたが,驚くほど小さな生物がいて驚きました.」


自然館の中で解説を聞いてから出発.
カスミサンショウウオの生息環境と産卵環境について説明を聞いた.

解説する内藤先生.
大人も子どもも真剣?

卵嚢の形をしっかりと覚えて,班ごとに散開.
それぞれの持ち場で調査の開始.

早速卵塊が見つかった.
カスミサンショウウオ以外にも,イロイロと発見がある.これはお腹の色が鮮やかなイモリ.

こちらも何か探索中.
オオコオイムシは,雄が卵を背負って守る.

とある場所で大量の卵塊を見つけた.
引き上げてみるとこんなにたくさんあった.

一房ずつ,胚の数を数えた.
同じ場所で成体も見つかった.

たくさんの卵嚢が見つかったのは,実は道路側溝の枡.カスミサンショウウオは,仕方なくここで産卵していた.
再生事業地内の水路は,とても産卵ができる環境ではなかった.

マアザミがある場所に行っても,ヤマアカガエルの卵塊が一つあるだけだった.
再び,二川キャンプ場駐車場に集合し,各々の調査結果を報告しあった.

2班は東側でいくつかの卵塊を見つけた.やはり山裾が重要な場所らしい.
子供達も感想を発表した.

調査が終了し,午後には実験区の整備作業を行った.
これで,水路から水が回るようになった.


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