西中国山地自然史研究会 観察会
大潰山の春植物観察会

【案内文】
炭窯や薪を採った跡が残る大潰山に登りながら植物の観察をします.人の手が加わったかつての里山は放置され,今では「二次遷移」と呼ばれる植物の移り変わりが進んでいます.大潰山ではスミレやツツジの仲間を中心に,様々な里山植物が見られます.特に山頂部のツツジ群落は見事ですよ.
開催日時:5月3日(木) 9:30
集合場所:大佐スキー場駐車場
準備:基本セット,弁当
講師:佐久間智子
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
ゴールデンウイークの真ん中,快晴の観察会は,6人のパーティーとコンパクトなものになりました.佐久間先生の観察会では恒例となった「植物の見分け方」,今回のテーマはスミレです.大潰山で見られるスミレのリーフレットを持って,登山口から主発しました.
登り初めてすぐに,オオタチツボスミレ,コタチツボスミレ,シハイスミレ,スミレサイシンと,次々にスミレが出てきました.それらを丁寧に観察していきますが,すぐには覚えられません.山を登りながら,とにかく見つけたスミレの名前を確認しながら進むうちに,少しずつ分かるようになっていきました.コチャルメルソウ,チャルメルソウ,マムシグサなど,形のおもしろい植物や,モモンガの食痕も確認できました.
道が急峻な中腹に差し掛かると,全く色が違うスミレが出てきました.確認するとアケボノスミレでした.また,ニオイタチツボスミレとフモトスミレも同じころに現れました.ニオイタチツボスミレは匂いがするというので,みんなで順番に嗅いでみましたが「匂った」という人と「分からない!」という人がいて,ワイワイ言いながら登りました.休憩を挟み,山頂にはお昼を少し過ぎたころに着きました.
山頂のツツジは全く開いていませんでしたが,腰掛けたまわりはアケボノスミレがたくさん咲いていました.独特の曙色と花びらの質感は,一度見たら忘れられないスミレです.山頂付近にはアケボノスミレ,ニオイタチツボスミレ,フモトスミレが多いようでした.まだ展葉していないカシワの林を抜けると,下りはとても急な道でした.まっすぐに下るので注意しながら下山しました.
スキー場が見える所まで降りてくると,ニョイスミレ(ツボスミレ)とタチツボスミレが見つかりました.これで,今回観察したスミレは9種類になりました.何気なく見過ごすのではなく,一つ一つを確認していくことで,なんだかスミレと仲良くなれたような気がしました.今回はスミレに注意しながら歩いたのですが,駐車場で観察したものをまとめてみると,ツクバネソウやエンレイソウ,ツツドリやトラツグミなど,色々なものを同時に見ていたことに気付きました.春の大潰山は,里山の要素が残る楽しい山でした. [し]

【みなさんの印象に残った物】
「いろんな植物があるんだなあ!」「アケボノスミレがたくさんありました.」「ニオイタチツボスミレの匂い.」「アケボノスミレ」

【参加したみなさんの感想】
「先生の説明を聞きながら,たくさん見ることができたので,すごくおもしろかったです.」「人数が少なくて説明が十分に聞けたのが良かった.」「来年もスミレの観察会として開いてはいかがでしょうか.」「ツツジには早かったがスミレは昨年より多かった.」「今まで逃げていたスミレに少し入れてよかったです.」「たまにこうやって細かい植物の見分け方をやるのは良いと思います.」


資料を手に出発!
早速スミレが現れた.これは何だろう?

茎があるタチツボスミレの仲間で,距が白いのはオオタチツボスミレ.
林の中で目立つのはオオカメノキ.

足下には,カエデの実生がたくさんあった.まだ双葉が残っている.
テンナンショウも出たばかり.

こちらはタガネソウ.葉の幅が広いスゲの仲間.
エゾユズリハの雄株.これから雄しべが成熟する.

アケボノスミレがたくさん咲いていた.
ニオイタチツボスミレの匂いを嗅いでみる.

山頂が近づくと,登山道が少し急になった.
登りで見たツツジは,このコバノミツバツツジ一輪だけ.

リョウブとナツツバキはよく似ているが,枝の付き方で見分けることができる.
山頂では,アセビがまだ花を付けていた.

緑が鮮やかなカラマツの芽生え.
山頂で記念撮影.少し霞んでいたが,遠くの山も見えた.暑くも寒くもなく,登山日和.

草丈の低い山頂部を歩く.
ニオイタチツボスミレも群生していた.

山裾にも山頂付近にも見られたコタチツボスミレ.
カシワはまだ芽吹いていなかった.

西側の山裾では,コバノミツバツツジが咲いていた.
小さな小さなフモトスミレ.

山裾で,本日最後のスミレ2種が登場.
よく群生するニョイスミレ.

最後に出てきたタチツボスミレ.


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