西中国山地自然史研究会 観察会
八幡湿原の植物と昆虫観察会

【案内文】
夏の八幡湿原で植物と昆虫を観察します.八幡湿原は,西日本の温帯では有数の規模を誇るもので,氷河期の遺存種など,様々な生き物が生活しています.梅雨が明けるこの時期,湿原には沢山の花が咲き,昆虫たちが羽化します.
開催日時:7月8日(日) 9:30
集合場所:高原の自然館
準備:基本セット,弁当,双眼鏡
講師:和田秀次,岩見潤治
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
前日までの雨がウソのように晴れ渡った青空の下,32名の参加者の皆さんとともに八幡湿原の植物と昆虫の観察会が行われました.講師は和田先生,岩見先生です.尾崎沼の入り口のところからぐるりと1周しました.虫や花をみつけるとすぐに「これは?」「名前はなに?」と質問がとびだし,先生もすぐさま答えてくださいました.分からないものはその場で図鑑をひき,照らし合わせて名前を調べ,生態を教えてくださいました.堰堤までたっぷり1時間かけて歩き,そこからは細い道を1列に並んで歩きます.ササユリとノアザミがそこここに咲き,参加者を迎えてくれました.花と昆虫は密接な関係にあり,ノアザミとトラマルハナバチ,ミズチドリとヒメシジミ,バイケイソウとバイケイハムシ,オカトラノオとイチモンジセセリなど,様々な取り合わせを見ることができました.他にも物差しのような模様がついているモノサシトンボ,青リンゴガムの匂いのするオオヘリカメムシ,金色の目をしたシュレーゲルアオガエル,充血したような赤目のモリアオガエル,肉食のムシヒキアブ,オスがメスに餌のプレゼントをするヤマトシリアゲ,翅(はね)と後ろ足をこすりあわせて音を出すナキイナゴなどなど個性的な昆虫のオンパレードでした.植物では最初にクリの雌花と雄花のお話を聞き,秋とはまた違ったクリの姿を楽しみました.他にはかぶれの木と言われるヤマウルシ,ツタウルシの特長を教えていただいたり,ミズチドリの美しさを堪能したり,クマイチゴの実を少しだけ味わったり,日本のヘーゼルナッツと言われるツノハシバミの実を眺めたりと,とにかくたくさんの種類の植物・昆虫について教えていただきました.
個人的にはムラサキニガナの花が可愛らしく思ったことと,オオヘリカメムシの匂いをかいでみて,意外にいい匂いだったことが印象的でした.
観察会の最初に和田先生が「植物も昆虫も現地で楽しみましょう」とお話されました.この場所を訪れるひとすべてが,踏みあとをつけない,咲いているものなどを持ち帰らないという意識を徹底させることこそがこのすばらしい湿原を残していくことなんだと再認識させられました.
ハンカイソウやマアザミ,ノハナショウブが咲き,チョウ類が舞う美しい湿原の姿をいつまでも見続けたいと願い,観察会を終えて八幡湿原をあとにしました.

【みなさんの印象に残った物】
「大きなセミを見たこと」「湿原にたくさんの植物・動物が多い事.」「イチヤクソウ」「ジャコウアゲハを初めて知った.」「ウメモドキを見られたこと.」「いろいろな植物といろいろな虫がいたのが楽しかったです.カエルが顔を出しているところ.」「モリアオガエルの卵とモリアオガエルを近くで見たこと.」「ミズチドリの美しさ.」「初めてモリアオガエル・ミズチドリを見た.」「ハンカイソウが全開で良かった.」「限りなく白いミズチドリの花.ナルコユリの大きかったこと.シリアゲのプレゼント作戦.」「ジャコウアゲハ」「モリアオガエルノ木登り.」「カイツブリ,シリアゲムシの求愛給餌」「クモキリソウ」「モノサシトンボ」「色んな植物と色んな昆虫.」「クロイトトンボの潜水産卵.ジャコウアゲハ,モリアオガエル,エゾハルゼミ」「モノサシトンボの交尾」「先生の話がよくわかった.イチヤクソウ・ミズチドリ」「バイケイソウ」「湿原そのもの」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「楽しい会でした.(2)」「多人数で一本道でモリアオガエルを間近に見た.」「ハンカイソウ群落とモリアオガエルの卵と実物を間近に見た.」「みなさんと一緒に歩くと沢山の発見があつことがうれしかった.」「いろいろな植物,いろいろな虫がいたので楽しかったです.」「自然にふれたことが良かったです.」「とても湿原が美しく良かったです.」「この湿原には沢山の動・植・昆虫がありこの自然をずっと守りたい.楽しい一日でした.」「大好きなノハナショウブがすばらしかった.」「様々な湿地植物を見れてよかった.」「ハンカイソウ.ノハナショウブなど花がきれいでした.昆虫も多く,すばらしい湿地です.」「花も虫も見れてよかった.」「子どもが興味深そうにしてよかった.」「普段余り見られない昆虫や植物が観察できた.」「すごい大きな湿地をみれて楽しかったです.」「いろいろと教えていただき,ありがとうございました.」「普段見ることのできない生き物(モリアオガエル,トンボ類,チョウ類)を見ることができたことや,いろんな植物の名前を教えてもらえたのが楽しかったです.」


高原の自然館前に集合して今日の日程を聞く. お天気にも恵まれ観察会日和になった.
クリの雌花と雄花.雄花は花粉が運ばれるころには落ちる.

今回気をつけること3つのうちのひとつ. 「クマ」「ハミ(まむし)」それから写真の「かぶれの木(ヤマウルシ)」
わからない種類はすぐさま図鑑で調べる.どうやらモノサシトンボの♀らしい.

先生を先頭に左右に目を配り観察観察・・.
モノサシトンボに対抗して??ハカリノメを発見.これはアズキナシの別名で枝に白い目盛りのような模様があるため.

次なる発見を探しに進め!その前にメモメモ.
昆虫はじっくり見るためいったんケースに.観察後はもちろん逃がします.

特長をよく見極めて名前を探す.ちびっこ虫博士の手にも使い込まれた昆虫図鑑が・・.
ニコちゃんマークの顔をしたマイマイガの幼虫.

「芸北らしい」とりあわせ.ミズチドリとヒメシジミ.
こちらはノアザミとトラマルハナバチ.このハチは後ろ足の太い毛に花粉をつけて運ぶ.

豊かな水が湿原をつくりだす.
花が下から咲きあがるオカトラノオ.

キリギリスの仲間のヒメギス.
岩見先生,10年来の謎らしい穴.

図鑑片手に,先生のお話を熱心に聞くちびっこ虫博士. 何がいたのかな!?
道沿いにササユリがきれいに咲いていた.独特の香りが立ちこめる.

昆虫を見る目がとても優しい岩見先生.同じ道を歩いても見つけ出すのがとても素早かった.
翅(はね)を開いた時の模様が「逆さの八」だからサカハチチョウ.

擬態昆虫として有名なナナフシ.小枝のよう.
雄が雌に食餌行動することで有名なヤマトシリアゲ. この雄はミミズをプレゼント.

和田先生の軽快なトークにかかると植物の生態がおもしろくなってくる.
熱心な質問にも熱心に答えて下さる岩見先生.片手にはトンボかな!?

トゲがでている木.オオウラジノキ.八幡名はヤマナシ.果実も見ることができた.
林内にはハンカイソウが花盛り.緑に映える黄色の花がとてもきれいだった.

おもしろい形のオニスゲの実.触ってみると思ったほど痛くない.
こちらはつり下がった実が目立っていたゴウソ.

池のほとりにはモリアオガエルの卵が何カ所もあった.
堰堤をわたりきり,見上げた先にはイワガラミが咲いていた.

やっぱりこれを聞かないと.「全開でもハンカイソウ」.
最後に集合して本日のまとめ.今日観察して一番印象に残ったものをひとりずつ発表.

ちびっこ虫博士から,あこがれのトンボのカードをもらった岩見先生.いつか見られるといいね!!
最後の堰堤のところでモウセンゴケの花を見つけて観察.


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