西中国山地自然史研究会 観察会
世界最南限のカワシンジュガイ観察会

【案内文】
生息地が世界の南限とされるカワシンジュガイの観察会です.実際に川に入り,生息している川の環境を見たり,どのように生息しているかを目で見ることができます.繁殖に関して重要な役割をもつアマゴやアブラボテとの関係のお話も聞くことができます.
開催日時:8月12日(日) 13:00
集合場所:芸北文化ホール
準備:サンダル・短パンなど水に入れる服装,弁当,箱メガネ
講師:内藤順一
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館

【報告文】
生息地が世界の南限であることでよく知られている芸北のカワシンジュガイですが,実際にどのように生息しているかを観察できるのは稀ではないでしょうか.今回は生息地に行く前に,講師の内藤先生からカワシンジュガイの生態,生息地,繁殖の方法など,さまざまなことをスライドを交えながらお話いただきました.今回観察する生息地では,ここ100年で急速に環境が変わり,絶滅状態に近くなったそうです.それには人間のライフスタイルの変化が大きく関わっています.カワシンジュガイの幼生(グロキジュウム)はアマゴに寄生し2ヶ月ほど過ごします.アマゴがいないとカワシンジュガイは成長することができません.人間の都合でアマゴを採りすぎたため,アマゴが減り,カワシンジュガイも減っていったのです.このままでは絶滅してしまうということで,多くの人の努力によりカワシンジュガイの保護が始まり,アマゴを増やしたり,環境を整えることで,現在では今回の生息地には,約1400個体のカワシンジュガイが確認されているそうです.
現地に移動し,冷たい水の中を入っていき,水の中をじっと見ていると,いましたいました!よく見ないと茶色っぽい石だなぁと見逃してしまいそうでしたが,カワシンジュガイです!少しだけ口を開けています.何カ所かで確認でき,手にとって観察もできました.しばらく見ていると「斧足(ふそく)」という貝の足が外側に出てきました.これを使ってカワシンジュガイは川の中で移動するそうです.カワシンジュガイの中に卵を産むアブラボテという魚もいました.メスには長い産卵管があり,それを使って貝の中に卵を産み,その後オスが放精し貝の中で受精させるそうです.アブラボテにだけ利益があるので片利共生という形でカワシンジュガイと関わっています.
生き物たちの関連を知ると,やはり生態系の変化は自分たちの生活にも大きく関わってくる出来事なんだなぁと改めて知ることができました.カワシンジュガイの生息する環境がいつまでも続くことを願います.[こ]

【みなさんの印象に残った物】
「カワシンジュガイが沢山見つかった.何十年も生きているとは驚きました.」「カイが増えているようで安心しました.」「川をのぞくのがおもしろかった.」「カワシンジュガイに出会えたことです.」「いろいろかいやさかなをみたことです.」「かいをみつけたこと」「カワシンジュガイから魚のしっぽが出ていたこと.」「生き物の生命力のはオドロキ!」「思ったより普通の貝で分布が限られているのが不思議でした.」

【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「涼しくて良かった.」「今後も保護活動をがんばって下さい.」「川の中に入ることが久しぶりで良かったです.子どもが楽しそうにしていた姿を見て,参加して良かったと思いました.」「話と現地と両方でよくわかりました.」「古代生物そのものである.」「子どもが遊べたので良かったです.」


最初にカワシンジュガイの生態や生活についてお話を聞いた.
配布されたプリント.アマゴとカワシンジュガイ,アブラボテの関係がよくわかる.

現地に集合.お天気は良かったが風が吹き,水は冷たく感じた.
そろそろと川に入る.子ども達はどんどんと進んでゆく.

発見!手に取ってみる.
真剣なまなざしでカワシンジュガイを見つめる.手触りはどうかな??

川幅は狭いので一列になって進む.ところどころで箱めがねをのぞき込んでみる.
内藤先生は潜って調査.

川の中ではこんな風に立って生息していることから「立ち貝」とも言われる.
少しだけ口を開けて,水・えさなどを取り込んでいる.

水中をのぞき込んで観察するのは大人も夢中.たくさんいたかな!?
カワシンジュガイの他にも泳いでいた魚をバケツに入れていた.少しだけ触ってみよう・・・.

とにかく水の中を覗いて,手にとって触ってみる.観察会では五感をフルに使う!!
カワシンジュガイと関係の深いアブラボテ.短いが産卵管が見えたのでメスと確認.

貝の足,「斧足(ふそく)」これを使って移動する.
箱めがね+水中めがね.何でも見えそう・・・.

やったーー!自分で見つけたのかな!?大きめのカワシンジュガイだ!!
水槽に移し近くで観察してみると,足がでてくる様子などがわかり興味深かった.

こちらも川底に迫って箱めがねで観察.カワシンジュガイが一見石のように見え,見過ごしてしまいそうになる.
先生が子ども達にレクチャーしている様子.さて,カワシンジュガイはどこにいる??


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