【報告文】
生息地が世界の南限であることでよく知られている芸北のカワシンジュガイですが,実際にどのように生息しているかを観察できるのは稀ではないでしょうか.今回は生息地に行く前に,講師の内藤先生からカワシンジュガイの生態,生息地,繁殖の方法など,さまざまなことをスライドを交えながらお話いただきました.今回観察する生息地では,ここ100年で急速に環境が変わり,絶滅状態に近くなったそうです.それには人間のライフスタイルの変化が大きく関わっています.カワシンジュガイの幼生(グロキジュウム)はアマゴに寄生し2ヶ月ほど過ごします.アマゴがいないとカワシンジュガイは成長することができません.人間の都合でアマゴを採りすぎたため,アマゴが減り,カワシンジュガイも減っていったのです.このままでは絶滅してしまうということで,多くの人の努力によりカワシンジュガイの保護が始まり,アマゴを増やしたり,環境を整えることで,現在では今回の生息地には,約1400個体のカワシンジュガイが確認されているそうです. 現地に移動し,冷たい水の中を入っていき,水の中をじっと見ていると,いましたいました!よく見ないと茶色っぽい石だなぁと見逃してしまいそうでしたが,カワシンジュガイです!少しだけ口を開けています.何カ所かで確認でき,手にとって観察もできました.しばらく見ていると「斧足(ふそく)」という貝の足が外側に出てきました.これを使ってカワシンジュガイは川の中で移動するそうです.カワシンジュガイの中に卵を産むアブラボテという魚もいました.メスには長い産卵管があり,それを使って貝の中に卵を産み,その後オスが放精し貝の中で受精させるそうです.アブラボテにだけ利益があるので片利共生という形でカワシンジュガイと関わっています.
生き物たちの関連を知ると,やはり生態系の変化は自分たちの生活にも大きく関わってくる出来事なんだなぁと改めて知ることができました.カワシンジュガイの生息する環境がいつまでも続くことを願います.[こ]
【みなさんの印象に残った物】
「カワシンジュガイが沢山見つかった.何十年も生きているとは驚きました.」「カイが増えているようで安心しました.」「川をのぞくのがおもしろかった.」「カワシンジュガイに出会えたことです.」「いろいろかいやさかなをみたことです.」「かいをみつけたこと」「カワシンジュガイから魚のしっぽが出ていたこと.」「生き物の生命力のはオドロキ!」「思ったより普通の貝で分布が限られているのが不思議でした.」
【参加したみなさんの感想(抜粋)】
「涼しくて良かった.」「今後も保護活動をがんばって下さい.」「川の中に入ることが久しぶりで良かったです.子どもが楽しそうにしていた姿を見て,参加して良かったと思いました.」「話と現地と両方でよくわかりました.」「古代生物そのものである.」「子どもが遊べたので良かったです.」
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