西中国山地自然史研究会 観察会
千町原草原の保全活動

【案内文】
かつて,千町原では広々とした草原に,マツムシソウやワレモコウ,ユウスゲなどが咲いていたそうですが,いまはそうした草花が咲く場所はほんのわずかになってしまいました.今年も千町原の草原を整備する作業を行ないます.樹木の生長を抑制し,草原の景観と生態系をとりもどす作業に,どうぞご参加ください.
開催日時:11月23日(金) 8:00
集合場所:高原の自然館
準備:作業セット,弁当,(あれば)チェーンソー,草刈り機
定員数:100人
主催:西中国山地自然史研究会,八幡高原振興協議会
協力:高原の自然館

【報告文】
草刈りの時には,いつも以上に天気が心配です.そして,いつも天気には恵まれます.今回も,数日前までとは打って変わり,「超」を付けたくなるほどの快晴でした.これなら問題なく作業ができそうです.8:00頃から参加者は集まりはじめ,9:00前にはみなさん山麓庵に勢揃いしました.八幡地区を代表して,八幡高原振興協議会の川内さんから挨拶を戴いたあと,班毎に別れました.今回は,班に分かれての作業です.リーダーは川内さんに加え,八幡青年団の佐伯クン・前クンの若手コンビです.現地に移動したあと,更に詳しい打ち合わせをしてから,作業開始しました.
今回は,いくつか新しい試みも盛り込まれました.その一つはキッズプログラムです.これまで,子供達は大人と一緒に作業をしたり,本部テントの周りで自由に遊んだりしていました.ただ,これだと大変危険で,作業に支障を来しかねません.そこで,今回は子供達みんなで草刈りについて学ぷことができるよう,プログラムを用意しました.まず,刈られたススキを使って「草泊まり」を作りました.大きな草原がある阿蘇では,家族総出で何日もかけて草刈りをします.そこで,草原の中に仮の小屋を建て,寝泊まりしながら草を刈ったそうです.千町原ではそうした習慣は無かったようですが,草に親しみ,草を使うことを体感するために,草泊まりを作ってみました.最後には刈った実もので飾り付けをするというオリジナリティーも出せたようです.このほか,押し切りを使ってススキの箸を作ったり,千町原にまつわるオリジナルの紙芝居を見たりと,なかなか盛りだくさんのプログラムだったようです.朝は緊張気味だった子供達も,帰るころにはすっかりうち解けて,はしゃいでいました.千町原の草刈りで再開する友達,なんていいですよね.
新しい試みのもう一つは,八幡民宿組合のみなさんによる食事の提供です.いつも大勢を迎える女将さんたちだけあって,味つけも手際もサスガでした.汁には,草原の草を使って作った堆肥で育てられた「はらっぱー大根」や,草原にするために切り倒したハンノキをほだ木にして育ったナメコも入っており,今回のお昼ごはんとして,これ以上のものは無い,という内容だったように思います.また,添えられた自家製の漬け物も好評でした.
草刈りの方は,3班は午前中に予定していた箇所を刈り終えたので,午後からは2班の作業予定地に移動して作業をしました.代わりに2班は,最難関である1班の作業を手伝いました.午後からの作業も順調に進み,終了目前で,予定していた箇所の伐採が一通り終わりました.樹木の伐採や若干の片付けが残ったものの,まずは目標達成です.始める前には「こんなにできないよ~」という声も聞かれましたが,人の力はすごいものです.毎年「作業は大人数」という言葉がつぶやかれます.(ちなみに,この後には「良いものは小人数」と続きます.)
現地で記念撮影と閉会をしたあと,みんなで山麓庵に移動し,仕上げをしました.ここではまたもや八幡民宿組合のみなさんお手製のぜんざいが振る舞われました.焼いた小餅が入って,疲れたからだホッとする気分でした.帰りには坂井さんからはらっぱー大根が配られました.温泉に浸かった人,もう一度伐採跡を歩いた人と,それぞれに帰路についたようです.[し]

この報告にあたり,荒木則行さん,佐久間智子さんに写真を提供いただきました.また,今回の活動に対して,大坪剛三さん,大坪榮子さんからご寄付をいただきました.ここに記して,お礼申し上げます.ありがとうございました.

受付ではでっかいはらっぱーがお出迎え.
ウェルカムコーヒーが提供された.

班毎に,色を変えたガムテープで,名札を付ける.
雲一つ無い快晴.

直前まで,打ち合わせが続く.
開会式で,地元代表の川内さんが挨拶.

現地に移動して,プリントを見ながら刈る場所や手順を確認.
打ち合わせを終えたキッズも到着.

始めに点呼と諸注意.
伸び放題の薮の中に,次々に入っていく.

道無き場所を刈り進む.
刈った後は,大勢で草集め.

広い道ができてきた.
キッズもがんばって草を集める.

集めた草は,ブルーシートに乗せて運搬.
さて,何がはじまるのか???

竹の骨組みに,ススキを置いていく.
みんなでする作業は,なぜ楽しいんだろう?

力を合わせて草運び.さすが,息がぴったり?
こちらは3班.ここも広い道ができた.

休憩時間にはお茶が配達された.休むことも大切な作業の一貫だ.
2班の方もずいぶん進んだ.

ここはササが多かった場所.大勢で
1班の樹木伐採も順調に進んでいる.

薮の中,笑顔だけど,かなりタイヘンなはず...
キッズプログラムも進行中.・・・えーっと,キッズは?

ここでゲストティーチャーが登場.
みんなで「押し切り」を体験した.

上手に箸ができたかな?
山麓庵では,昼食の準備ができていた.

今回は,八幡の民宿組合のみなさんお手製の昼食.
地元の食材をたっぷり使った炊き込みごはんとみそ汁.2年前に伐採したハンノキをほだ木にしたナメコやはらっぱー大根も入っている.

思わず顔がほころぶ.
午後の作業を始める前に,各班長から午前中の進行状況を報告した.

子供達は紙芝居に見入る.
1班はまだまだ薮が続く.

それでも,ずいぶんと片付いてきた.
補給部隊も奔走する.

キッズの方も,形が見えてきた.
最後は伐採で出たツルウメモドキやノイバラを使って飾り付け.

3班もあと一息.
ついに開通した!

大きな木も切り倒していく.
みんなで木を投げ,道を拡げる.

草泊まりも完成間近.
入口を,大きなハサミで整える.

作業完了!
居心地良さそうな,はらっぱーのお家ができた!

大人達も作業を終えて帰ってきた.
みんな満足そうな顔.

各班から,作業状況を報告した.
川内さんが最後の挨拶をするころには,影が長く伸びてきた.

恒例の記念撮影.この後,山麓庵に帰ってぜんざいで仕上げをした.


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