西中国山地自然史研究会 観察会
雲月山の植物

【案内文】
今年の春に山焼きが再開した雲月山では,山焼きの一週間後には既にたくさんのショウジョウバカマが咲き,草原の再生を予感させました.秋を迎えて,草原ではさらにたくさんの花が咲いているはずです.山焼きに参加された方,その後の観察会に参加された方はもちろん,初めての方も,この再生の第二章を見に行きませんか?翌週の深入山の観察会とセットで参加されると比較ができて面白いですよ.
開催日時:9月25日(日) 9:30
集合場所:雲月山駐車場
準備:山を歩ける服装,弁当,雨具,ルーペ,図鑑,メモ,おやつ 等
講師:和田秀次
定員数:30人
主催:西中国山地自然史研究会
協力:高原の自然館,芸北文化ホール

【報告文】
今年の春に山焼きが再開された雲月山は,秋を迎えました.山焼き再開後,初めての秋を迎えた雲月山では,どのような動植物がみられるのでしょうか.期待に胸を膨らませ,36名の参加者が雲月山駐車場を意気揚々と出発しました.今回の観察会の講師である和田先生を中心に,山道から外れて自由に観察を行いながら,ゆっくりと山を登って行きました.オケラ,カワラナデシコ,ヤマハギ,カナビキソウ,ウメバチソウ,ムラサキセンブリ,マツムシソウなど,たくさんの草花を観察することができました.地面にしっかりと根をはり,風に揺れながら空を見つめるその姿からは,自然の生命力や再生力の強さが感じられました.車道に下りてからも観察は続き,参加者たちは熱心にメモを取ったり,写真を撮ったりしていました.新しい知識を得て,おいしい空気と美しい風景に触れて,とても充実した一日となりました.[金高文香]

登山を始める前に,パソコンを使って山焼きの説明をする和田先生.
山焼きした場所を登り始めると,たくさんの花が見られた.秋の草原を代表する植物のひとつ,オケラ.

アキノキリンソウは今が見頃.
こちらは桃色花のオケラ.

小さなヤマハッカ.
リュウノウギクはまだつぼみだった.

アセビの新葉とコカマキリ.
ウメバチソウの花.この花はまだ雄しべが熟しておらず,これから雄性へと移っていくところ.

一本でもセンボンヤリの閉鎖花.
燃えたアセビを指しながら,火入れ管理後の植生変化について説明する和田先生.このアセビは,根元から萌芽していた.

ヤマノイモの実を付けて遊んでみせる和田先生.
芸北の山頂にはカシワがよく見られる.

山頂付近で実をびっしり付けていたタンナサワフタギ.風のためか,葉が傷んでいた.
雲月山の山肌にはたたら製鉄の跡が見られる.西中国山地の製鉄の歴史について話す和田先生.

遠見所山を下り,高山を目指す.右手は島根県,左手は広島県.管理によって植生が全く異なるのが分かる.
かつての失火の痕跡.今ではこの白骨木も雲月山の景観となっている.

ショウジョウバカマのロゼット.春には焼かれた株が葉を伸ばし,中央には来年の花芽を付けていた.
シラヤマギクの花はもうおしまいが近い.舌状花弁が欠けるのが特徴.

マツムシソウもたくさん咲いていた.山焼きで増えていくだろうか?
高山の山頂でお昼ゴハン.意外と風が無かった.

帰りは高山の中腹を戻っていく.前方遠見所山の山肌が,左手の島根県側と右手の広島県側で全く異なるのが良く分かる.広島県側で中腹の色が違う所は,4月9日の山焼き時に,残雪があって燃え残った所.
燃やした斜面ではササが低く,様々な花が咲いていた.

同じ斜面でも,燃やしていない所にはササが茂り,樹木も見られる.花も少なかった.
美しいススキの小径を進む.

ぽつんと咲くハバヤマボクチ.
苅られたヨモギを使って艾(もぐさ)を作ってみた.

とにかくよく両手で揉む.
どんどん揉む.

これはまだ初期のもの.揉んでいるうちに黒い葉がなくなり,白い綿のような艾ができる.
雲月山を背景に,記念撮影.

日本のブナ帯で見られるサルビア,キバナアキギリ.
草原に生えるモリアザミ.この花はこれから開いていくところ.付き出した雄しべから花粉がこぼれる.

春に焼かれた斜面は,ススキの絨毯になっていた.
ビャクダン科の半寄生植物,カナビキソウ.

帰りの車道でもしっかり観察.
最後に山焼きと草原生植物の話をまとめていただいた.

春に行った,山焼き直後の観察会の様子を報告しています.こちらもぜひご覧下さい.
雲月山の動植物観察会(4.17,2005)


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